生まれ持った家庭環境が、子供に与える影響は計り知れない。何不自由なく、愛情たっぷりに子供を育てる親がいる一方で、過干渉や暴言、暴力などで子供を思い通りに支配したり、自己愛が強く子供を構わない「毒親」と呼ばれる親も多い。

【漫画】「学費が未納⁉」金銭的虐待を受けた女性はどうなった?

そんな「毒親」だった両親と、分籍・住民票閲覧制限で絶縁したことをきっかけに「そんな親、捨てていいよ。~毒親サバイバーの脱出記録~」「こんな家族なら、いらない。」などの漫画を執筆した、漫画家・尾添椿が、毒親による“虐待”を受けた子供たちのリアルを徹底取材。

実際に、虐待を受けて育った子供たちは、どのような人生を歩んでいるのか―。著者の取材後記を踏まえ、本記事を「それって、愛情ですか?」と題してお送りする。今回は、金銭的虐待を受けていたイヨさんを取材。金銭苦で過ごしたイヨさんを待ち受けていた現実とは…?

※この記事には不快に感じる可能性のある描写が含まれます。ご了承のうえ、お読みください。

――金銭的な虐待を受けていたイヨさんを取材してみていかがでしたか?

「イヨさんは私が知っている中で唯一『理解のある恋人』がいたからこそ、毒親から離れることができた人です。理解することは、すべてを受け止めること。彼に打ち明けたイヨさんの勇気があってこそ、抜け出せたのだと思います。お金は身体が動くうちは稼げる、けれど働けない状況に陥ったときのほうがお金が必要になりますよね。イヨさんの親は『お金を使うことが好き』で、金銭苦を自ら作り出していたことに驚きました」

――このエピソードを通して、伝えたいメッセージとは?

「お金を大事にできない人が子供を大事にできるわけがなく、金銭的虐待と教育への無関心は隣り合わせだということです。また、辛い過去を受け止めるには治療と時間の両方が必要だということ。家庭内で長い間虐待されていた人は『あれは本当に虐待だったのか、本当は虐待を受けていなかったのではないか?』と思うことがありますが、そうではありません。イヨさんも両方が必要な方でしたね」

過去を乗り越えて今を生きるすべての人に、明るい未来が待っていることを願いたい。

「それって、愛情ですか?」イヨの場合より/漫画=尾添椿