大勢の人に向けたメッセージというのは、何よりも「分かりやすさ」が重要。しかし分かりやすさを重視した結果、文章が長くなってしまい、見向きもされなくなった…ともなれば、本末転倒である。

ところでX(旧・ツイッター)上では、都内で発見された「極限まで情報を削った張り紙」に、称賛の声が寄せられているのをご存知だろうか。

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■いくらなんでも安すぎる…?

19日から20日にかけてX上で話題となっていたのは、京王電鉄分倍河原駅構内に掲出された複数枚の張り紙である。

分倍河原駅

中でも注目を集めていたのは券売機エリアに出現したもので、こちらには「B’z 140円」と、思わず二度見してしまう内容が記されていたのだった。日本を代表するロックユニット・B’zの値段が140円というのは、どう考えても安すぎる…。

他にも、B’zと書いて「アイドリッシュセブン」と読ませるような、シュールな並びの張り紙も話題を呼んでいた。

分倍河原駅

そこで今回は、話題の張り紙を掲出した「京王電鉄株式会社」に詳しい話を聞いてみることに。その結果、なんとも微笑ましいエピソードが明らかになったのだ。


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■社内で「議論」起こったワケは…

一連の張り紙を掲出した経緯について、京王電鉄は「分倍河原駅JR南武線の乗換駅であり、沿線外含め多方面からのお客様にご利用頂くため、ひと目見て分かるように行き先方面のご案内と一緒に、コンサートやイベントに関するワードを使い表記しました」「今回は、飛田給駅周辺にある味の素スタジアムで『B’z』コンサート、武蔵野の森総合スポーツプラザで『アイドリッシュセブン』のコンサートが同日に開催されたため、このような表記となりました」と説明している。

分倍河原駅

B’z 140円」と、極限まで情報を削った背景に関しては「きっぷ売り場は案内を掲出するスペースが狭く、コンサートに来場される方へのきっぷのご案内を最低限の情報でさせて頂くべく、掲出しました」との回答が。

じつは、以前も味の素スタジアムで大きなコンサートが開催される際、同駅では「飛田給140円」といった張り紙を掲出していたものの、会場を目指す利用客の中には「飛田給」の3文字を見ても味の素スタジアムに結びつかない…という人物も少なくなかった。

そのため「もう少し分かりやすい掲示方法はないか」と京王電鉄社内で議論した結果、今回の「B’z 140円」表示が爆誕したというのだ。確かに凄まじくシュールな字面だが、「シンプルさ」や「分かりやすさ」視点から見ると、これ以上に適切な表現は存在しないだろう…。


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■「素晴らしい措置」と称賛相次ぐ

一連の張り紙に関するポストはX上に多数投稿されており、中にはわずか数日で3万件以上ものリポストを記録したものも。

Xユーザーからは「これ考えた人、天才だろ」「地方から遠征した交通IC未所持の人にも配慮してある、素晴らしい措置」「分かりやすいって、こういうこと」「B’zの文字数の少なさもあって、めちゃくちゃシンプルなのがまた面白い」など、称賛の声が多数寄せられていたのだった。

果たして次回、こうしたコンサートやイベントが開催される際は、どのような「お知らせ」に注目が集まるのか。今から既に楽しみである。

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■事情を知ったうえで見てもやはりシュール


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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