2000年を超える栄えある歴史と比類なき文化を誇るローマは、現在はローマ市庁舎のあるカピトリーノの丘を中心に築かれてきた。その丘に建つ、世界で最も古い美術館のひとつであるカピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、「永遠の都」と称されるローマの歴史と芸術を紹介する展覧会が、9月16日(土)から12月10日(日)まで、上野の東京都美術館で開催される。

カピトリーノ美術館の歴史は、ルネサンスの時代に教皇シクストゥス4世がローマ市民に4点の古代彫刻を寄贈したことに遡る。これらを核に美術館が設立され、1734年に一般公開が始まった。古代遺物やヴァチカンに由来する彫刻、またローマの名家からもたらされた絵画コレクションなど、多岐にわたる充実した収蔵品はまた、ヨーロッパにおける政治、宗教、文化の中心地として発展したローマの歩みを色濃く反映している。

約70点の彫刻、絵画、版画等が出品される同展は、同館のコレクションを日本で初めてまとめて紹介する機会となる。ローマ建国神話に関わる彫刻やメダル古代ローマ帝国の栄光を示す肖像彫刻、芸術の最盛期を迎えたルネサンスからバロック期の絵画、ミケランジェロ美術館前に建設したカンピドリオ広場の構想記録、そして17世紀以降に芸術家たちの憧れの地となったローマを描いた絵画や版画など、多彩な作品でローマの歴史と芸術の歩みをたどることができる。

なかでも注目を集めるのは、古代ローマ帝国の栄華を象徴する《コンスタンティヌス帝の巨像》。教皇からローマ市民に寄贈された作品の1点でもあるこの古代彫刻は、頭部だけで約1.8メートル。同展では、頭部、足、球体をもつ手など、巨像の一部を原寸大で複製した作品が登場し、迫力ある巨大彫刻を体感させてくれる。

東京会場のみでの公開となるが、門外不出の傑作《カピトリーノのヴィーナス》が来日するのも、大きな見どころだ。古代ギリシア最大の彫刻家プラクシテレスの女神像(前4世紀)に基づく2世紀の作で、ルーヴル美術館の《ミロのヴィーナス》などと並ぶ、古代ヴィーナス像の傑作である。

なお、2023年は、日本の明治政府が欧米に派遣した岩倉使節団がカピトリーノ美術館を訪れてから150年の節目の年にあたるという。同展では、同館と日本との関わりを紹介する興味深いコーナーも設けられている。

<開催情報>
『永遠の都ローマ展』

会期:2023年9月16日(土)~12月10日(日)
会場:東京都美術館
休室日:月曜(9月18日10月9日は開室)、9月19日(火)、10月10日(火)
時間:9:30~17:30、金曜は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
料金: 一般2,200円、大高1,300円、65歳以上1500円
※土日・祝日のみ日時指定予約制(当日の空きがあれば入場可)
巡回展:福岡市美術館 2024年1月5日(金)~3月10日(日)
展覧会公式サイト:
https://roma2023-24.jp

《カピトリーノのヴィーナス》 2世紀 大理石 カピトリーノ美術館蔵 ©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini ※東京会場限定展示