スター・ウォーズ」ドラマシリーズ最新作「スター・ウォーズ:アソーカ」がディズニープラスにて独占配信中。アナキン・スカイウォーカー唯一の弟子であり、クローン戦争から続く銀河の戦いの歴史を体感してきた元ジェダイのアソーカ(ロザリオドーソン)が、新たに訪れる銀河の危機に立ち向かう物語がついに開幕した。本稿では、ファンの期待が高まる初回と2話のレビューをネタバレありでお届けする。

【写真を見る】もう一組の“マスターとパダワン”の今後の動向に注目!

※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

■冒頭からライトセーバーが炸裂…アソーカ二刀流に高まる期待

ついに始まったスター・ウォーズ:アソーカ」。今回は「パート1:師と弟子」、そして「パート2:苦悩と苦難」の2話同時配信という大盤振る舞いだ。

当初からアニメシリーズ「スター・ウォーズ 反乱者たち」の続編になると言われていたが、紛れもなくそうだった。「反乱者たち シーズン5」と言ってもいいくらい!メインの登場人物は「反乱者たち」から続くキャラクターで、それから10年後と言われているストーリーもしっかり継承している。つまり、サビーヌ・レン(ナターシャ・リュー・ボルディッツォ)とヘラ・シンドゥーラ(メアリーエリザベスウィンステッド)が登場してアソーカと共に帝国の残党たちと戦う。そして、彼女たちの真の目的は、いまでも生きていると言われる帝国軍のスローン大提督(ラース・ミケルセン)の居場所を特定し、さらにそのロザルの戦いの最中、姿を消したかつての仲間でありジェダイ騎士のエズラ・ブリッジャーを捜すこと。おそらく、この2つが本シリーズのテーマになるのだと思う。

初回は、新共和国軍に囚われていたスローンの信奉者モーガン・エルズベス(ダイアナ・リー・イノサント)が、ジェダイを偽って乗り込んできたライトセーバー使いの2人組、ベイランスコール(レイ・スティーヴンソン)とシン・ハティ(イバンナ・ザクノ)によって奪還されてしまうところからスタートする。

このモーガンは、「マンダロリアン」シーズン2の第5話「チャプター13:ジェダイ」で初登場したスローンの信奉者。その時アソーカと剣を交え、新共和国に囚われていた帝国の権力者だ。また、ベイランとシンの“師と弟子”は今回初お目見えのキャラクター。ベイランクローン戦争のあと消息を絶ったと言われる元ジェダイで、オレンジ色にも見えるライトセーバーを持ちフォースを操っているところを見ると、いまの立ち位置はジェダイでもシスでもなくハンパ?一見、ダークフォース寄りだが、そこまで堕ちてないということなのだろうか。

一方アソーカは、モーガンから聞きだしたスローンの居場所を示す地図をナイトシスターの古の寺院から手に入れることに成功する。

ご存知のようにアソーカは文字どおりライトセーバー二刀流で、その2本を巧みに使って地表に円形の穴を開け地下寺院に飛び降りるシーンがなんともかっこいい。その後に登場する、モーガンの差し金と思われるドロイドとのバトルも二刀流でキメてくれる。今回のシリーズ、アソーカ二刀流アクションも大きなお楽しみになりそうだ。

さて、サビーヌとヘラが登場するのは「反乱者たち」のメインの舞台の一つだった惑星ロザル。いまやヘラはシンドゥーラ将軍となり、サビーヌも中佐になっている。アソーカはそんな2人にロックされた地図の解除を頼む。

ここで注目したいのはサビーヌのやさぐれっぷり。ロザルに自由を与えてくれた英雄エズラたちを称える式典をすっぽかし(式典の主催者は「反乱者たち」にたびたび登場していたロザルの総督、ライダー・アザディ)、大切なはずのマンダロリアンのアーマーやヘルメットも机の下に押し込んだまま。髪がロングなのも手抜きとしか思えない。

その理由は、エズラを失ってしまった喪失感ともう一つ。師匠だったアソーカに見捨てられてしまった後悔というか悲しみ。そうなのだ。「反乱者たち」の時はそんな要素はほぼなかったように思うのだが、いつの間にかこの2人、“師と弟子”関係になっていたのだ。

そんなダウナーなサビーヌだったが、アソーカには内緒で持ち帰った地図を見事にオープン。が、そこにドロイドとシンが現れ、地図もデータもすべて奪われてしまう。

ここで展開するのがサビーヌとシンのライトセーバーバトル。サビーヌはエズラから預かったそれを使うものの、やっぱりシンのほうが強かった。サビーヌの身体をシンのライトセーバーが貫いてしまう!

スローン大提督とエズラを捜しに、チームで銀河へ飛び立つ!

初回から衝撃のエンディングなので、今回だけは第2話も同時配信なのかもしれない。

が、もちろん、サビーヌが死ぬはずもなくアソーカに助けられて病院に運び込まれる。彼女は壊れたシンの手下ドロイドの解析をし、それがコレリア製であることを突き止める。モーガンの工場もコレリアにあるのだ。

コレリアといえばハン・ソロの出身惑星であり、彼の愛機ミレニアム・ファルコン号が造船されたところ。本作でもスターシップの造船が盛んなことが伝わってくる。

その惑星に乗り込むのはアソーカとヘラ。ヘラは愛機のファントム2に相棒のアストロメク、C1-10Pことチョッパーを搭載している。チョッパーはかつてヘラに助けられたドロイド。型番は古いにもかかわらず大変優秀で、いざという時にはメチャクチャ役に立つ。性格は負けん気が強く天邪鬼。頭部左右に格納できる2本の腕が雄弁に感情を伝え、もしかしたらR2-D2より個性的と言えそうなキャラクターだ。彼の登場と相変わらずの大活躍っぷりに頬が緩んでしまうファンは多いのでは?

そのコレリアでアソーカとヘラが知るのは、この惑星を牛耳っているのはいまでも帝国の残党であるという事実。アソーカは彼らの暗殺ドロイドとバトルし、ヘラはそのドロイドを連れ去ったシンの船に発信機をつける。

一方、モーガンたちは奪い返した地図を解読し、スローンが”ペリディアの道“にいることを突き止める。そしてモーガンはベイランに「”シオンの目“がくる」と告げる。”シオンの目“ってなに?モーガンはまた「”シオンの目“が完成すれば、遠い銀河のスローン大提督を救いだせるだろう」とも言っている。もしかして、なにかのメカなのか?”ぺリディアの道“というのも聞いたことがない。ベイランはジェダイ修行の時に耳にしたおとぎ話だと言っているが…。これはかなり気になる! 

ちなみにモーガンの出自はダソミアのナイトシスターの生き残りであることが初回で判明。これも忘れないように。

さて、ギクシャクしまくっていたアソーカとサビーヌ。ヘラの助言もあったせいか、めでたく復縁。アソーカは「反乱者たち」の時と同じ、自身のトレードマークでもあるショートカットに戻し、マンダロリアンのアーマーを身に着けてヘルメットを抱え、2人してスローン(とエズラ)を捜す旅に出る!アソーカがサビーヌに「パダワン」と声をかけるのは、2人のこれからの冒険に、もう一つの意味があることを示している。もうジェダイ騎士ではないアソーカマスターとしてパダワンをどう教育するのかも大いに気になるところだ。

ということは今回、登場する「アソーカ&サビーヌ」コンビと「ベイラン&シン」コンビはどちらもジェダイでもなければシスでもないというハンパな立ち位置。こういう師弟関係を描くのはシリーズ初かもしれない。

最後にキャスティングについて書いておこう。

初回のエンドクレジットに記されている「我々の友人レイに捧げる」はベイランスコールを演じたレイ・スティーヴンソンが2023年5月21日、58歳で亡くなったから。スティーヴンソンは「マイティ・ソー」シリーズなどで知られるアイルランド出身の役者。「スター・ウォーズ」シリーズでは「反乱者たち」「クローン・ウォーズ」でマンダロリアンのガー・サクソンの声を当てている。彼が最後まで続投するかはわからないが、モーガンアソーカを倒すよう言われ、数少なくなったジェダイを殺すのは惜しいと答えるのは、彼の複雑な想いが伝わってきて興味深い。そういう“師”をまた、困惑した表情で見つめる“弟子”のシンの心境も気になるところだ。

アソーカを演じているのは引き続きロザリオドーソン。そして実写版となったサビーヌにはオーストラリア出身のナターシャ・リュー・ボルディッゾ。彼女はダニエル・ラドクリフ主演のアクションコメディ『ガンズ・アキンボ』(19)などに出演している。ヘラを演じるメアリーエリザベスウィンステッドクエンティン・タランティーノの『グラインドハウス:デス・プルーフinグラインドハウス』(07)でドーソンと共演している女優。彼女の夫はオビ=ワン・ケノービユアン・マクレガーだ。

シンを演じているのは『パシフィック・リム:アップライジング』(18)に出演していたウクライナ出身の女優イバンナ・ザクノ。パッツンブロンドヘアがお似合いだ。

アソーカの相棒的な存在であり、ジェダイ・オーダーに仕えていたアーキテクト・ドロイドのヒュイヤン(と字幕はなってましたが、これまではヒューヤングでした)の声は「グッド・オーメンズ」や「ドクター・フー」などで知られるイギリスの人気者デヴィッド・テナントというところもぜひチェックして!

初回の監督は「反乱者たち」を始め本作のクリエイターでもあるデイヴ・フィローニ、第2話は「ウォッチメン」や「ボバ・フェット」を手掛けるステフ・グリーンがそれぞれ務めている。

文/渡辺麻紀

「スター・ウォーズ:アソーカ」初回&2話をネタバレありでレビュー!/[c]2023 Lucasfilm Ltd.