MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、個性豊かな問題児たちのアツい友情を描いた青春エンタテインメント、ジェイソン・ステイサムが巨大ザメとバトルを繰り広げる海洋パニック第2弾、鳥山明ワールドが詰め込まれた傑作漫画が原作のアニメーション映画の、巨悪に立ち向かう主人公に力をもらえる3本。

【写真を見る】モテるため男子校に入学した勝太が振り分けられたのは、問題児が集まるG組だった(『Gメン』)

■いつの間にか魅了されてしまう…『Gメン』(公開中)

小沢としおの同名ヤンキーコミックを、「おっさんずラブ」シリーズや『バイオレンスアクション』(22)などの瑠東東一郎監督が映画化した青春エンタテインメント。「彼女を作りたい!」。高校1年生の門松勝太はその一心だけで女子に人気の男子校に転校してくるが、入れられたのはヤンキーとオタクしかいない最底辺クラス=G組だった!本作は頭の悪そうな問題児(に扮したEXITのりんたろー。、矢本悠馬ら個性派キャスト)たちが、アドリブ全開で勝太をいじりまくるそんなシーンからスタート。しかも、周りを気にしないハイテンションでくだらないギャグを延々とやっていて、手荒い歓迎を受けて反撃する勝太も天然のおバカぶりを炸裂させるから、えっ、この映画大丈夫?って真剣に思っちゃう。

ところが、勝太に扮した岸優太がキレッキレのアクションを炸裂させてからは、そのマイナスイメージが一新!いや、その後に出てくるのも美男子なのに女子に興味がない瀬名拓美(竜星涼)、恋愛は奥手のレディースの総長、上城レイナ(恒松祐里)といった濃いキャラばかりで、なにも変わらない。吉岡里帆も可愛いらしい顔でとんでもない暴言を吐きまくる新任教師の雨宮瞳を楽しそうに爆演し、岸も彼の素顔と重なる、どこかピントのズレた勝太になりきっている。そう、全キャストがコテコテのギャグもアクションも全力でやるから、そのおかしなテンションがクセになり、いつの間にか魅了されてしまうのだ。しかも、そこでは凸凹メンバーなりの一体感も生まれるから、凶悪組織“天王会“とのクライマックスのバトルも自然に熱くなる。観る側も心を解放して、映画の世界に身を委ねれば、最高に楽しい時間を過ごせるに違いない。(映画ライター・イソガイマサト)

■理屈抜きに楽しめる超エンタメ作品…『MEG ザ・モンスターズ2』(公開中)

体長20メートル超の古代鮫メガロドン(通称MEG)の恐怖を描く、ジェイソン・ステイサム主演のモンスターパニック第2弾。海底の下に広がる温暖域で種をつないできたMEGが、海洋リゾートに出現する。前作が世界中で大ヒットした要因が、MEGの迫力で押しまくる「面白ければなんでもアリ」な豪快さ。今作ではその数が3体に増えたうえ、巨大ダコや水棲獣スナッパーズら古代生物も出現とまさに夏フェス状態だ。

海獣軍団とガチンコバトルを演じる潜水レスキュー、ジョナス・テイラー(ステイサム)の大暴れも見どころだが、今作では海の安全を守るため潜入ミッションに挑んだりタキシード姿を披露したりするなど、ジェームズ・ボンドばりの雄姿も描かれる。かつてステイサムは「007」への出演がウワサされていたが、それに対する目くばせだろう。ジョナスと絶妙な掛け合いを見せたマック役のクリフ・カーティスのほか、ジョナスが命がけで守った少女メイイン役でソフィア・ツァイが続投。すっかりティーンエイジャーに成長したメイインへの、ジョナスのほほえましい親バカぶりもお見逃しなく。スリルとアクション、ユーモア満載、理屈抜きに楽しめる超エンタメ作品である。(映画ライター・神武団四郎)

鳥山明作品の新たな魅力に出会える…『SAND LAND』(公開中)

世界中に多くのファンを持つ「ドラゴンボール」の原作者である鳥山明が、2000年に自身の趣味を全開にして描いた漫画「SAND LAND」がアニメーション映画化。水源である河が枯れ砂漠化が進む世界で、老兵と魔物が手を組んで“幻の泉“を目指すアクションアドベンチャー。

本作は、鳥山明の描くキャラクターやメカを3DCGで表現しつつも、手描き作画のような味わいで見せるという試みがなされている。3DCGを駆使することで進化し、表現可能なミリタリー的な緻密さとダイナミックなカメラワークを駆使したアクション表現と鳥山明の「絵」のイメージをそのままにCGとしての違和感が無い生き生きとしたキャラクターの表現の融合には、アニメーションのさらなる可能性を感じるはずだ。また、戦車好きの鳥山明がこだわりを持って描いた戦車の内部や戦闘シーンは、その思いをしっかりと受け止める形で映像化されており、本作の大きな見所となっている。ロードムービー的なシンプルな構成、独特な「善と悪」についての語り口に連なる物語の爽快なラストも含めて、鳥山明らしさを堪能できる1作となっている。(映画ライター・石井 誠)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

男子高校生たちの青春を描いた、小沢としおのヤンキー青春漫画が原作の『Gメン』/[c]2023「Gメン」製作委員会 [c]小沢としお(秋田書店)2015