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近所同士の些細なトラブルが大きな事件に発展することがあるが、アメリカでアパートの住人から騒音などの苦情を受けていた一家は突然、体調に異変をきたした。のちに苦情を訴えていた男が、家の中に毒性のある液体化学薬品を注入したことが分かった。米ニュースメディア『New York Post』などが伝えている。

米フロリダ州タンパ・ベイ地区のあるアパートに暮らすズーミン・リー(Xuming Li、36)が、同じアパートの上階に住むウマルアブドゥッラーさん(Umar Abdullah)宅の玄関ドアの隙間から液体化学薬品を注射器で注入したことにより、今年6月27日に逮捕された。

中国出身でサウスフロリダ大学の学生だったズーミンは、今年7月に化学の博士課程を修了し博士号を取得している。ズーミンは大学在籍中、研究室にある化学薬品を調合してウマルさん一家の毒殺を試みたようだ。被害に遭ったウマルさん一家は昨年6月から現在のアパートで生活しているが、同年8月に女児が誕生するとズーミンから苦情が出始めたという。

ウマルさん一家のドアを閉める音や歩く足音などについて苦情のメールが届くようになり、ウマルさんが大家と騒音を検証したところ、音はほとんど聞こえなかったそうだ。その後もズーミンからの苦情は続いていたが、今年5月頃に家の中で悪臭がするようになった。

また同時期に、一家は原因不明の吐き気とめまいを感じるようになり、娘に関しては泣いてもいないのにいつも目が涙でいっぱいだったそうだ。そんな中、一家が休暇で自宅を留守にしていた際、ウマルさん宅に荷物を受け取りに来た友人が化学薬品のような悪臭がすることに気づいた。

自宅に戻ったウマルさんも悪臭に気づき、玄関横にある給湯装置に問題があるのではないかと思い、業者を呼んで点検してもらったようだ。その時、器具の交換や通気口を掃除してもらったが、6月に入ってから再び悪臭が発生した。

その頃、ウマルさんは玄関ドアに小さな隙間があることに気づき、不審に思って玄関の外側にある観葉植物に監視カメラを設置した。そして後日、カメラの映像を確認したウマルさんは震え上がった。6月27日午後5時半頃にメガネをかけた男がやってきて、ガラスの小瓶に入った液体を注射器に移し、ウマルさん宅の玄関ドアの隙間から注入していたのだ。その男は紛れもなく苦情を訴えていたズーミンだった。

ウマルさんが監視カメラの映像を警察に提出したことで、ズーミンはその日のうちに逮捕された。現在の一家は友人宅に身を寄せているが、ウマルさんはフロリダ州タンパ・ベイのニュースメディア『FOX 13 Tampa Bay』のインタビューに応じ、「事件をカメラが捉えていなければ、おそらく私たちは数日後に命を落としていたかもしれません」と語っている。

米ニュースメディア『New York Post』によると、ズーミンが使用した液体化学薬品にはオピオイド系の鎮痛薬であるメサドンとヒドロコドンが含まれていたようだ。ズーミンは逮捕後に保釈され、今年12月5日に出廷する予定だが、住んでいたアパートの管理組合から立ち退きを要求されているという。

画像は『New York Post 2023年8月25日付「Ex-chemistry student accused of injecting opioid under neighbor’s door used university lab to mix dangerous toxins」(News Chanel 8)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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