外環道の下道である国道298号に並行する「南浦和越谷線」が、延伸に向け動き始めました。現在できている区間は立派な4車線道路ですが、ゴミ処理場の門に直結しているという状況。延伸でどう変わるのでしょうか。

埼玉の貴重ぉぉな東西道路「南浦和越谷線」とは

埼玉県さいたま県土整備事務所が2023年7月、都市計画道路「南浦和越谷線」の整備について、草加・越谷両市の住民を対象に説明会を実施しました。長らく動きがなく、ちょっと“残念な”状況だった4車線道路が、延伸に向け動きだしています。

南浦和越谷線は、川口市とさいたま市南区の境目(南浦和付近)から、越谷市蒲生までを東西方向に結ぶ計画で、延長は約12km。外環道とその下道である国道298号の北側に並行しています。現在は川口市内8.8kmが開通済みです。

沿線に鉄道駅もなく、地元の人以外には知る人ぞ知る存在かもしれませんが、東北道に並行する国道122号とはインターチェンジ型式のように立体交差しているなど、規格の高い4車線道路です。南浦和の市街地に直結(JR線を跨ぐ南陸橋に接続)しているうえ、川口市西部では国道298号とも近く、混雑する同路線のバイパスのようにも使えなくもありません。

――が、その東側の終端部は、何とも奇妙な途切れ方をしています。ゴミ処理場である川口市戸塚環境センターの正門で行き止まりとなるのです。その先へ行くには、手前で住宅街に入り、細い県道へ迂回して国道4号に抜けるようになっています。

越谷市側もごく一部の区間ができていますが、この状況で20年以上が経過していることから、近年、埼玉県議会でもたびたび進展について議員から質問が出ている状況でした。

というのも、埼玉県南部はかねて「東西軸」の不足が指摘されているからです。この地域で“まともな”東西軸といえるのは国道298号国道463号しかなく、298号は外環道の千葉延伸(2018年)以降、混雑が激化しています。さいたま県土整備事務所も、この南浦和越谷線が298号のバイパスになる路線であるとしています。

懸案だった「川を越える区間」が動く

南浦和越谷線の事業が進まなかった要因、それは戸塚環境センターの東側に綾瀬川が流れているうえ、川口市越谷市の間に草加市がわずかに食い込む区間だからです。国道4号までの区間は草加市越谷市、県がそれぞれ整備区間を定めて進めていくこととしていたものの、綾瀬川の架橋に多額の費用がかかることなどが課題になっていたといいます。

そこで今回、「総合的に見て県が事業を進めることとなった」(さいたま県土整備事務所)とのこと。これにより、綾瀬川の前後およそ690m区間(戸塚環境センターから県道越谷川口線まで)について、今回、住民説明が行われました。

幅員は22mで、車道4車線の両側に歩道を設置する、既存区間に準じた設計となります。現在は基礎調査に着手した段階で、橋梁の型式をどうするかによっても規模が大きく変わってくるため、完成年度などは見通せていないそうです。

なお、その先の越谷市内区間についても、整備に向け動いているとのこと。未整備区間が開通すれば、第二産業道路、国道122号国道4号、さらにはそのバイパスである東埼玉道路といった南北路線どうしが4車線道路で連絡され、交通の円滑化が期待されるとしています。

南浦和越谷線の川口市内。4車線だが交通量は多くない(乗りものニュース編集部撮影)。