長崎の離島群、壱岐エリアにある壱岐空港は、国内の一般的な空港とは一味違うターミナルビルが使用されています。小さいながらも個性が強すぎる、同空港の空港ビルを巡ってみました。

館内は「飛ぶための設備」…ほぼそれのみ

長崎県にある離島、壱岐島。主要な九州本島との交通手段は船ですが、航空便も飛んでいます。この空の玄関口「壱岐空港」はどのようなところなのでしょうか。実際に行ってみると、一般的な空港とは一味違うターミナルビルをもっていました。

壱岐空港は壱岐本島の南東側の海岸沿いに位置。近くには海水浴場が点在し、同島の名物である「エメラルドグリーンの海」を離着陸時などに見ることもできます。滑走路は南北方向に伸びており、1200mの長さです。

そのような壱岐空港ですが、ターミナルビルは一言でいえば”昭和の公民館”のような、クラシカル、かつ小ぢんまりとしたものです。ちなみに国内空港としては珍しく平屋建てです。

航空便利用者でなくても入れる一般エリアは、チケットカウンターと化粧室があるのみ。土産店やレストランなどはありませんが、1日2便の航空便発着にあわせて、一時的にターミナルの隅でブース形式の小さな特産品ショップが営業しています。また、こちらにはモニターを使った電光時刻表などはなし。時刻表は、かなりの年季を感じさせるパネル形式のものとなっています。

待合室、手荷物返却場、そして展望デッキまで個性的!

保安検査場を抜けた搭乗待合室は、テレビやモニタータイプの時刻表などが設置されており、一般エリアよりは現代的です。とはいうものの、待合室は3人がけ程度の長椅子が整然とならんでいる以外は、搭乗に必要な機器類、そしてテレビと化粧室が設置されているのみ。ガラス越し飛行機や航空会社関連の機器が見えなければ、「市民病院の待合室」を連想できる館内です。

一方で到着時も、大空港のような到着導線はなく、ドア1枚を開ければ、そこは共用エリアです。預け荷物の返却は共用エリアの端にあるカウンターで行われます。早く降機すれば、機体から降ろされた預けた荷物が車両に乗せられ、そのままカウンターに置かれる様子を見ることができるかもしれません。

そして壱岐空港で最もユニークなつくりとなっているのが、展望デッキです。ターミナルの外に小さな階段があり、そこをのぼると屋上に行けます。ここがデッキの役割を果たしているのです。ただ、デッキとはいっても、駐機場に面して金網が設置されただけの「飛行機を見送れる屋上」といったほうが近いでしょう。

「乗り降りだけに完全に特化した空港」という意味では、全国的に見ても、いまや壱岐空港はとても貴重な存在といえそうです。また、築年数こそ古くても内装などはリニューアルされている空港が多いなか、壱岐空港はある意味、昭和レトロそのもの。ほかの空港では味わえない雰囲気がありました。

壱岐空港(乗りものニュース編集部撮影)。