8月3日からPrime Videoで配信中の恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』シーズン5。今シーズンでは『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン2で、最後の1人に選ばれず、番組を去った元バスケットボール選手の長谷川惠一が5代目バチェラーに選ばれた。

(参考:【撮り下ろし写真】5代目バチェラー・長谷川惠一

 『バチェロレッテ・ジャパン』参加当時、"成長する、弱気なオトコ”をキャッチコピーに掲げていた長谷川。この夏彼が見せた人間味のあるバチェラー像は、視聴者の心を大きく揺さぶった。

 全16名の女性参加者とメキシコで濃厚な時間を過ごしてきた長谷川にとって、今回の旅はどのようなものだったのだろうか。裏側で繰り広げられていた女性たちのドラマを見た率直な感想と合わせて、今の想いを聞いた。

――過去のインタビューで女性の「推しメン」は特にいなかったとお話しされていましたが、同じ男性視点での“バチェラー”では過去シーズンで印象に残っている方や学びがあった方はいましたか?

長谷川惠一(以下、長谷川): 誰かを参考にしたとか、そういうのはまったくなかったです。逆に参考にしないでいこうと思ったくらい。やっぱり真似すると自分らしくないじゃないですか。だから、自分で考えて旅を進めようと思っていて。ただ、印象に残っている部分はそれぞれあります。たとえば、シーズン4のコウ(黄皓)さんだったら「いっぱいチューしてたな」とか(笑)。

――たしかに印象に残った場面でした(笑)。『バチェラー・ジャパン』シーズン5の配信が始まって、実際の反響はいかがですか?

長谷川: ともに戦った『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン2のメンバーにはこれまでの完璧なバチェラーよりも、より人間らしい側面が出てるってことで、「いいよ!」と言ってもらえました。

――現場ではバチェラーご本人が知らなかったような参加女性たちの本音を、配信を見て初めて知ったということもあると思います。

長谷川: そうですね。的確な意見をおっしゃってくれるところに関してはすごく勉強になりますし、反省するところもあったなと思います。一部に関しては、「そんなこと言ってたんかい!」ということもありましたが(笑)。日常生活の中では見えない部分なので、それが見られるのは面白いと思いました。

――視聴者としては、今回の『バチェラー・ジャパン』シーズン5では「ストールローズ」を巡る話し合いも見どころの一つだったと思います。ストールローズを巡る女性同士の話し合いを見てどう思われましたか?

長谷川: 誰がストールローズを使うかの話し合いの大変さは、自分自身も経験していたので、理解していたつもりです。私の時は途中で休憩を挟んだりしてしまうくらい、とにかく長く話し合いました。言葉があまり出てこなくて負けてしまったので苦い思い出ですね(笑)。

――熱い想いだけでなく、話に論理性が必要ということですね。

長谷川: そうです。使いたい人だけじゃなくて、使わない人をどう味方につけるかという側面もあると思います。それこそ、本当にプレゼンをしているみたいな。しかもそこにどれだけ、気持ちを込められるかどうかというのもあって。

――あの場面では竹下(理恵)さんが大内(悠里)さんのデートを奪う形になりましたが、竹下さんではなく、月田さんがストールローズを持って行っていたら、結果はまた変わったのでしょうか?

長谷川: 正直わからないです。断っていたかもしれないし、受け入れていたかもしれない。本当に旅の中での決断って、自分でもその時じゃないと分からなくて。それに「いま思えばああしておけばよかった」とあまり思いたくなかったし、後悔したくなかった。だからあの日あの場面で竹下さんを選んだ決断は、自分にとってはベストだったと思います。

――それこそ月田さんは序盤、「ローズセレモニーで自分の名前が最後に呼ばれることは彼からのメッセージでもあると思う」とお話しされていましたが、名前を呼ばれる順番に意図やメッセージ性はあったのでしょうか?

長谷川: 明確なメッセージがあるわけではないんですけど、“まったく意味合いがないわけでもない”というところでしょうか。曖昧ですみません。ローズセレモニーで名前を呼ばれずに待っている時って、本当に辛いんですよ。自分も最後に呼ばれた経験が2回あるんですけど、いまでもこうやって回数を覚えているくらいなので、生きた心地が全くしない。だから自分が「安心させたい」と思う人にはなるべく早めに渡していました。

――『バチェロレッテ・ジャパン』や『バチェラー・ジャパン』に対するネットの反響は毎回盛り上がり、その中にはいい言葉もあれば悪い言葉もあります。エゴサーチは結構する方ですか?

長谷川: 自分に関するエゴサーチは全くしないですね。気にしないというか、何を言われたとしても、相手は『バチェラー・ジャパン』で見せている自分の顔しか知らない人たちなので。本当にあそこで繰り広げられる物語というのは、参加しないとわからない部分がたくさんあって。時には、本当にメンタルが不安定になることがあって、つらい経験もある旅だから。それでも辛辣なことを言われている瞬間を目撃するときもありますし、そういう時は悲しくなっちゃいますよね。欲張りかもしれませんが、温かい目で見てもらえたら嬉しいです。

――番組内で大内さんが仰っていた「自分の目で見た長谷川さんを信じよう」という内容の発言にも重なりますね。

長谷川: そうですね、私も「本物を見てみないとわからない」という思いを大切にしています。

――パートナーに求めるものとして「相手も自分も一緒にいるときに自分らしくいられること」とお話しされていましたが、日常生活での恋愛でそのような関係を作っていくために大切なことはなんだと思いますか?

長谷川: もしお相手と結婚をするとしても、「この人かっこいい!」とかって四六時中ずっと思っているわけではないじゃないですか。逆もそうですけど、ダメな部分をどれだけ最初に見せられるか。自分を作らない、飾りすぎないっていうのが僕のモットーです。過去の恋愛では、自分の良い面だけを見せてアプローチをして、徐々にメッキが剥がれていって失敗するパターンが多かったんです。素の自分を受け入れてくれるかどうかを見るんだったら、まずは自分からそういう面を見せていく勇気も必要なんじゃないですかね。

――それを番組内でやってみようとするとかなり大変そうです。

長谷川: そうですね。もちろん「これだけは言おう」と思っていた言葉とか、インパクトのある発言がフィーチャーされることが映像では多いですが、それがすべてじゃない。のんびりした時間などに相手の素が見えるような会話もあるわけで。もちろん、最初は「素の自分を受け入れてくれるかどうか」なんてわからないです。でも非日常の中だからこそ、時間を重ねていくうちにその人の日常が見えたりもするんですよね。

――今回の『バチェラー・ジャパン』シーズン5の自己採点は何点でしょうか?

長谷川: 前回の旅が80点だとしたら、今回は120点です。自分自身も頑張った実感があるし、女性たちも本気でぶつかってきてくれたので。

――120点だった旅にさらにタイトルをつけるとしたら、どんなものをつけますか?

長谷川: シンプルに「長谷川成長物語」ですかね。“自分1人の成長じゃない”ってサブタイトルもお願いします。自分だけではない16人たちとの物語でした。

――バチェラーシリーズほどの過酷さとは言わなくても、マッチングアプリや婚活サービスが増えた現代では「複数の中からひとりを決める」シーンが多くあると思います。そういうたくさんの出会いの中で自分にとっての「真実の愛」を探すには、どうすればいいと思いますか?

長谷川: 難しいですね。もちろん1人とお会いして、トントン拍子で先まで進めばそれが一番ですけど、なかなかそうもいかないでしょうね。役に立つかわかりませんが、バチェラーになって思ったことは、「多くの女性の中から選ぼうと思うと難しい」ということです。

――あくまでその場では相手だけを真摯に見る、と。

長谷川:そうです。どんなにたくさんの方と並行でお会いしていたとしても、恋愛って基本的に向き合っているのは1人なんですよね。「この人とどこまで心理的に近くなれるか」っていう、1対1が何回もあるイメージ。相手だけを見て、その人に対して知っていく過程を重ねていくことで、現在のような環境でも自分に合う方に出会えるのかもしれません。

――最後に、たくさんの魅力的な女性との濃厚な旅を終えた長谷川さんが考える、「結婚と恋愛の違い」とはなんでしょうか?

長谷川: あまり違いはないような気がします。この年になると、「結婚は恋愛の延長戦上にある」という考え方になりました。やっぱり結婚って安心なども重要だとは思うんですけど、それでも男女の関係ならではのドキドキ感を失いたくないじゃないですか。だから、変に区切りは設けたくないかなって。だから恋愛は、“結婚”というスタートに続く助走だと思っています。

(文・取材=すなくじら

長谷川惠一(写真=池村隆司)