緩やかなホラー感とゾワッとした読後感で人気の、原作・梨さん、漫画・景山五月(@unyamho)さんがダッグを組んだ「コワい話は≠くだけで。」を紹介する。ドバドバ血をみせるシーンや恐怖で気が狂うようなシーンはなく、淡々と語られる実話風モキュメンタリー漫画がリアルで怖いと人気を集めている。

【漫画】空き地にある、その「家」は…?

■家出癖のある青年が宿泊先に選んだ「家」は――?

実録ホラー漫画を描くことになった、漫画家の景山さん。今回紹介するのは、家出癖のある青年とその友達との電話でのやりとりを描く。

位置情報アプリを見ると、友達の翔也が街を歩き回っていた。DMを送ると案の定、親と喧嘩をして家出したと言う。彼は何度も翔也を泊めていたことがあり、「今日は家に泊められない」と釘を刺すと「誰かおらんかな」と、翔也は街を歩いていた。

その後、ある場所から位置情報が動かなくなった。不思議に思って翔也に電話をすると「泊めてくれる家にいる」と言う。しかし、位置情報アプリを見ると、そこは空き地。電話口で嘘をついている様子もなく、どのような経緯で泊めてくれることになったのか、詳しく理由を訊いていくと――。

――本作はどのような形で漫画を描いているのでしょうか?

「コワい話は≠くだけで。」はホラー作家の梨さん(@pear0001sub)が原作を書かれていて、頂いた原作を元に私が漫画化をしています。

――ホラー漫画を描くうえで、気をつけていることはありますか?

テンポ感やコマの構成など、演出にはかなり気を配っています。あとは怖いシーンの絵も、読者の皆さんにちゃんと嫌な気持ちになってもらいたいなと思って描いています。

――実録漫画と創作漫画を描くときの違いはなんでしょうか?

「コワい話は≠くだけで。」はモキュメンタリーなので、実録漫画は描いたことがないです…が、「実録っぽさ」を出すためということであれば、エッセイ漫画の作家さんが描いた作品は読んで参考にしています。

――霊的な力がある兄妹を描いた創作漫画「早く帰ってきて」。本作を描いたきっかけを教えてください。

商業活動のことで少し悩んでいた時期に、好きな漫画描いてコミティア同人誌を出そう!と思い、兄と妹のキャラクターで何か作品を描きたいなと思っていたのと、ホラー的なものにちょっとチャレンジしたかったのが組み合わさって考えつきました。

――本作はまだ謎な部分も多く、続編を期待する声もありますが、いかがですか?

描き……たい!とは!!思っています!!商業活動の忙しさにかまけて描けていませんが、考えてるエピソードはまだまだあるし、キャラクターも気に入っているので形にしたいです。

――兄妹2人で生きていることや兄の仕事のことなど、続編では少しずつ話が広かっていく予定でしょうか?

そうですね。2人以外の登場人物も出てきて、なぜ兄妹がこのように生きているかがわかっていく予定です。

――読者の方にメッセージまたはお知らせがありましたら、こちらにお願いいたします。

これからも漫画をいろいろ描きたいと思っていますので、楽しんでいただければ幸いです。

位置情報で空き地を示す場所に「泊まる」と言う翔也。不思議に思い、テレビ電話で泊まる家を見せてもらうと布団の敷かれた和室があり、彼の話が嘘ではないことがわかった。しかし、和室の奥の仏壇が映ると、そこには――。スマホで位置を確認できたり、テレビ電話で無事を確認できたりと現代的な怪談。本作を読んで、「軽い気持ちで読んだら、怖かった」「眠れなくなった」などの声が届く。

取材協力:景山五月(@unyamho)

彼が泊まる予定の「家」は、地図上で「空き地」を示していた/画像提供:(C)原作 梨・漫画 景山五月