迫力ある発砲炎ももう見られません。

40年近くにわたった運用も間もなく終了

陸上自衛隊の第1特科団は2023年8月29日、装備する203mm自走りゅう弾砲の最後の実弾射撃訓練を実施したと発表しました。

射撃訓練は北海道のほぼ中央、富良野市や上富良野町などに広がる上富良野演習場で7月30日(日)に行われたとのこと。当日は、富良野市長や上富良野町長をはじめ、隊員家族なども訓練を見学したそうで、最終弾は第1特科団隷下で最後の運用部隊となった第4特科群第104特科大隊の大隊長が発射動作を行ったといいます。

「特科」とはいわゆる砲兵で、第1特科団は陸上自衛隊のなかで最大の特科専門部隊です。北海道に所在し、1985(昭和60)年に203mm自走りゅう弾砲を装備して以来、38年間にわたって運用し続けてきました。

ただ、203mm自走りゅう弾砲の老朽化、陳腐化が進んだことや、日本政府が策定した防衛計画の大綱(防衛大綱)で火砲の保有数が、牽引砲と自走砲合わせて300門/両に制限されたことなどから、2023年度末(2024年3月)をもって完全退役する予定です。

2023年8月現在、203mm自走りゅう弾砲を運用するのは、前出の第4特科群のほかには教育部隊である富士学校の特科部と特科教導隊(富士教導団隷下)、そして武器学校だけです。富士学校や武器学校も、実動部隊である第4特科群第104特科大隊の203mm自走りゅう弾砲が退役するのに合わせて教育を終え、全車退役する予定です。

なお、第1特科団では、永きにわたり北の守りを担ってきた装備の最後の雄姿ということで、今回の実弾射撃訓練の様子を動画で公開していました。

第1特科団隷下の第4特科群第104大隊が装備する203mm自走りゅう弾砲の実弾射撃(画像:陸上自衛隊第1特科団のツイッターより)。