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 おいまてちょっとまて、センターラインどこ?曲がった白線が何本もうねうね引かれたおかしな道路。新手のアートかいたずらかと思いきや、そこにはちゃんと理由があった。

 ドライバーのスピード違反対策は世界各地で行われているが、簡単に減速をうながすにはどんな方法があるだろう?

 フランスの小さな町ボーネにあるのはドライバーに錯覚を促すユニークな仕掛けだ。この町は危険なスピード違反防止のため道路に直接シンプルな工夫を取り入れた。

 意外にも即効性が見られたという斬新な道路標示。だがやはり、どう見ても迷路のようで逆に迷いそうなその車線には、さまざまな意見が殺到している。

【画像】 フランスの町によるスピード違反を減らすアイデア

 このほどユニークなスピード違反対策で一躍話題になったのは、フランス西部メーヌ=エ=ロワール県の自治区アンジェにある小さな町ボーネだ。

  人口わずか 1,700 人ほどのボーネの町は、いつも大渋滞に悩まされていた。住民の数は少ないが、町の中で2 つの県道が交わるボーネでは、毎日大量の車が道を通り過ぎるのだ。

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image credit:JOSSELIN CLAIR

 一日の通行量は約 2,300 台。町の人口を超える車が町の道路を通過する。

 目的地に急ぐドライバーは、交差点でもよく見えるよう設置した時速30キロ制限の標識もガン無視で、中には時速100キロで飛ばすドライバーもいたりする。

 危険なドライバーに減速させる手はないものか、と困り果てていた町はある日、白線を重ねてわかりにくするという仕掛けを採用した。それが意外にも見事に機能してるという。

道路に曲がった白線を複数引くまぎらわしい仕掛け

 町が採用したスピード違反防止の仕掛けは、見てのとおり道路に白線を複数引くというもの。

フランスのニュースメディアLe Courrierより

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 ポイントは、対向車線をくっきり分けるまっすぐなセンターラインではなく、複数の白線が重なり合うよう引くこと。なのでどの線も曲がっている。

 つまりドライバーにとっては、ふだんなにげに基準にしてる白線の境界がなく、あちこちに曲がる白線だらけということになる。

Le Courrierより現地の様子

 運転する側からすれば、最高にまぎらわしい細工であり、走りにくさ倍増の妨害工作仕様だが、だからこそこの仕掛けがある道路は慎重に走らざるをえなくなる。

 この対策によって視覚的な錯覚が生じたドライバーは自然と減速したり、道路標識や交通ルールといった他の情報に注意を払うというわけだ。

「無茶」「無意味」「なぜ」と非難が殺到

 一方この風変わりな対策の写真がフランスのSNSで取り上げられたことを機に拡散すると、それを見た人のほとんどがしばし頭を悩ませた。

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image credit:JOSSELIN CLAIR

 「センターラインなしで走れなど無茶」というつっこみが相次ぎ「妙な白線を広場まで広げるのは無意味じゃないか」という声や「なぜ信号やロータリーを設けるとか普通の対策をしないのか?」と疑問を呈する声も上がった。

開発担当者の副市長がドライバーの速度は大幅に低下と公言

 減速のためにドライバーを錯覚させる道路標示とはなかなかに斬新だが、実際の効果はどれほどのものなのだろう?

 この地域の道路開発責任者であるメーヌ=エ=ロワール県ロワール=オシオン市の副市長グレゴワール・ジョーノー氏は「この白線を引いた当日からドライバーの速度が大幅に低下したデータが得られた」と述べている。

 だが地元のコミュニティでは、効果は一時的なもので、ドライバーがこの仕掛けを理解すれば途端に以前と同じスピード違反が始まるだろうと予想する者もいるそうだ。

事故防止のため道路に錯覚を採用する例はカナダでも

 てことで、詳細な効果のほどはあまり公表されてないようだが、車の走行をかく乱するような対策はやっぱり危険な気がしないでもない。

 見慣れない白線でドライバーの気が散ったり、センターラインを探そうとしてうっかり衝突なんてこともありそう。

 ただ同様の目的で、道路に錯覚を採用する例は世界中にある。

 たとえばカナダバンクーバーでは、学校のそばで子どもの交通事故が多発する交差点でドライバーが減速するよう、路面にだまし絵を導入した。

 その様子がこちら。カナダの公共安全団体 preventable が公開した、子どもの急な飛び出し防止のために導入しただまし絵の事例

You're Probably Not Expecting a Child to Run Out On the Road

 そのだまし絵はドライバーが接近するにつれ、道路の真ん中でボールで遊んでいる女の子がいるような絵を表示する仕掛けで、地元の公共安全団体が独自のリスク評価により「この試みに安全かつ一定の効果がある」と報告している。

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image credit:Traffic Safety Foundation Vancouver

 このアイデアについても「ドライバーをだます意図」に非難の声もあるが、団体はこの絵に本物の子どもと見誤るほどリアルな「飛び出す」効果はなく、30m先からでも平面な絵があることがわかり、ドライバーを驚かせる効果もないとし、この交差点に適切な試みだと賛成しているそうだよ。

References:odditycentral / cnetなど /written by D/ edited by parumo

 
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迷路かな?スピード違反防止のための白線車線が紛らわしすぎた