カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 NASAと米国農務省(USDA)森林局が共同し、"宇宙飛行の歴史の生きた証拠のひとつ"としての「アルテミス・ムーンの苗木を、全米の教育機関や地域団体に提供することが発表された。

 これはただの苗木ではない。NASAアルテミス計画の一番最初の計画「アルテミス1号」で、宇宙船に乗せられて月の周りを飛んだ種から育った苗木なのだ。

【画像】 月を周回した植物を育てるプロジェクト

こ の取り組みは、科学(Science)、技術(Technology)、エンジニアリング(Enginee

ring)、数学(Mathematics)といったSTEM分野への関心を促進することを目的としている。

 アルテミス・ムーンの苗木は、プラタナス(スズカケ)、モミジバフウ、ベイマツ、テーダマツ、ジャイアントセコイアの5種。

 2022年11月6日アルテミス計画で打ち上げられた宇宙船オリオンに乗せられ、地球から27万マイルを25日間旅した、およそ2000個の種から育ったものだ。

2_e0

アルテミス1号計画でパッケージに入れられ月を周回した植物の種子 / image credit:NASA

・合わせて読みたい→宇宙空間でもグングン育つよ。初の根菜、ラディッシュの成長記録を早回しで

 これら苗木は、まもなく全米中で植えられる予定だ。

NASAアルテミス・ムーンの苗木は、宇宙探査の科学と創意工夫を地球に持ち帰ったということなのです」と語るのは、NASAのビル・ネルソン長官。

昨年、これらの種は第1次アルテミス計画で、月の彼方、64,300km方まで飛行しました。

USDAとの協力関係によって、この新たな月の木は、米国全体に探検の精神を植えつけ、次世代の探検家に刺激を与えることでしょう

アポロ14号についで2度目となる月から帰還した植物の栽培

 月まで行った植物の種が、地球に植えられるのは2回目となる。

 1970年代アポロ14号の司令船パイロットで、森林局の山火事消防隊員だった、スチュアート・ルーサが、個人の道具の中に第1世代の種をしのばせて、地球の地に持ち帰ったことがきっかけだった。

 現在、50年以上前と同じように、森林局は種子を発芽させ、苗木に育てる上で重要な役割を果たした。現在の苗木は、アルテミス・ムーンの木としての新たな役目を担う準備が整った。

・合わせて読みたい→宇宙で栽培した唐辛子を使った「スペース・タコス」が完成!NASAの宇宙飛行士がおいしくいただく

3_e0

アルテミス1号ミッションで、月を周回した種子から育てられた5種の植物の苗木 / image credit:NASA

アルテミス計画でもたらされた種子は、まもなく国中の学校や施設に誇らしげに育つ月の木となるでしょう」米農務省森林局のランディムーア氏は言う。

これら月の木は、以前のものと同様に、誠心誠意取り組めば、達成できないことなどなにもないことの力強い象徴になります。

このことは、未来の科学者世代に刺激を与え、彼らが行う研究は、ここ森林局で私たちがやっているすべての活動を支えてくれるでしょう
4_e0

NASAと農務省森林局が月を回った種子から育てた苗木 / image credit:NASA

アルテミス・ムーンの苗木を植えるには

 アルテミス・ムーンの苗木申請の応募期間は、この10月6日金曜までだ。応募資格があるのは、幼稚園から高校までの公式および非公式教育機関、大学、コミュニティ組織、博物館、科学センター、政府機関だ。

 苗木は、植えられた場所で確実に育つよう、生存能力基準に従って提供される。さらに、森林局は、選ばれた受領者に対して、米国本土の地理的地域に基づいて、苗木の種類を決めるという。

 実際の苗木の配布は、2023年と2024年に行われる予定だ。

References:NASA, Forest Service to Share Moon Tree Seedlings, Promote STEM | NASA / written by konohazuku / edited by / parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

アルテミス1号と共に月を周回した植物の種子から育った苗木を全米で育てるプロジェクト