世界的な物議を醸した加藤の失格騒動。そのなかで壮大なバッシングを受けたソリベストルモが、その想いを打ち明けている。(C)Getty Images

 世界的な物議を醸した騒動への複雑な胸中を当事者が語った。

 スペイン人のプロテニスプレーヤーであるサラ・ソリベストルモがテニス専門メディア『CLAY』のインタビューで、今年6月の全仏オープンで起きた騒動について、「はっきり言って、かなり複雑なことだった」と苦悩を漏らした。

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 彼女がそう振り返るのは、現地6月4日、四大大会「全仏オープン」の女子ダブルス3回戦での出来事だ。ソリベストルモはマリー・ブズコワ(チェコ)とのペアで、加藤未唯/アルディラ・スチアディ(日本/インドネシア)組と対戦。その試合中に加藤が何気なく打った球がボールガールの頭部を直撃するアクシデントが発生した。

 この時に下されたジャッジが波紋を広げた。混乱した少女の涙が止まらなかったために、主審は加藤に警告を言い渡した。だが、これにブズコワとソリベストルモが「泣いているじゃない」と猛反発。結果的に加藤は大会側から失格を言い渡され、試合は中止に。さらに28歳の日本人は、女子ダブルスでの賞金とポイントを剥奪、さらに罰金まで科されるに至った。

 その後に加藤が「当てたのが男の子なら問題はなかった」と審判側とのやり取りを告白。そうした背景もあって、騒動は大会後も余波が広まり、釈然としない処分を定めた大会側には海外メディアやテニス識者から猛烈な非難が相次いだ。一方で、加藤への警告に猛反発をし、結果的に失格へと追い込むキッカケを生んだソリベストルモたちにもバッシングが飛んだ。

 世界中で話題となった騒動について「間違いを犯した人間が、どうして自分の責任を負いたくないのかが理解できない」と語るソリベストルモは、対峙した加藤に対する自身の考えを正直に打ち明けている。

「今日に至るまで、いまだにいろんなことが起きている。私はとても落ち着いているし、マリーだって落ち着いている。だけど、彼女(加藤)がしている唯一のことは、私たちのせいではないのに、私たちのせいだと言うことだけ。ボールを当てたのは彼女なのにね」

 さらに加藤の行動について「あれは正義ではない」と強調するソリベストルモは、「カトウは遠くからボールを当ててしまい、あの子は泣いてしまった。そしたら審判が『何が起きたんだ?』と私たちに聞いてきた。彼はそれを見ていなかったから、私たちは彼女がボールをぶつけてしまって、あの子は泣いていると説明しただけ。それが現実」とも主張した。

 同業者たちからも多くの批判を受けた。それでも「ロッカールームでは非常に良い対応をしてもらった」と振り返る26歳のスペイン人は、「パリでのことも、『サラ、この選手はこんなことを起こしたのは初めてではない』と他の選手たちから言われたことがあった」とし、加藤を暗に否定する意見を発信している。

「彼女が誰かにボールを当ててしまうのは初めてだけど、こういう騒動になるのは初めてではない。そういうビデオもある。だから、(処分を)受け入れなければならない。私は文化が違うことも理解しているけど」

 テニス界に大きな波紋を広げた行動から約3か月。ソリベストルモの新たな発言には、当事者なりの強い想いが滲み出ている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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