ローマは31日、チェルシーからベルギー代表FWロメル・ルカクレンタル移籍にて加入することを発表した。

 今夏去就に大きな注目が集まっていた“ビッグ・ロム”は、“ジャッロロッシ”(黄赤/ローマの愛称)のユニフォームを身に纏ってプレーすることとなった。ローマの発表によると、レンタル移籍期間は2024年6月30日までの約1年間。背番号は昨季インテルで背負った「90」に決まっている。なお、イタリアメディア『スカイスポーツ』によると、レンタル料は700万ユーロ(約11億円)ほどの見込み。ローマで受け取る年俸は700万ユーロ前後だと報じられた。契約に買い取り義務やオプションなどは付随しておらず、2023-24シーズン終了後にはチェルシーへ戻ることとなる。

 ルカク1993年5月13日生まれの現在30歳。母国のアンデルレヒトでトップチームのキャリアをスタートさせると、2011年夏にチェルシーへと加入した。だが、初挑戦となったプレミアリーグでは出場機会を得られず、2012年夏にウェスト・ブロムウィッチへ、翌年夏にはエヴァートンレンタル移籍。エヴァートンブレイクを果たし、完全移籍での加入に移行すると、2017年夏にはマンチェスター・ユナイテッドへの完全移籍を決めた。マンチェスター・ユナイテッドでは在籍2シーズンで公式戦通算96試合出場42ゴール13アシストという成績を残したものの、試合後ごとに波のあるパフォーマンスで批判されることも少なくはなく、2019年夏に当時のクラブ史上最高額でインテルへ完全移籍した。

 インテルでは初年度からゴールを量産。最前線でアルゼンチン代表FWラウタロ・マルティネスと不動のコンビを組み、2020-21シーズンにはセリエAで36試合出場24ゴール10アシストを記録。クラブにとって11シーズンぶりとなる“スクデット”の原動力となった。同シーズンの終了後、当時のチェルシー史上最高額となる移籍金1億1500万ユーロ(当時レートで約149億円)で古巣への復帰を決断。チェルシーでの2021-22シーズンは公式戦44試合の出場で15ゴール2アシストを記録したものの、パフォーマンスに対する批判が集まり、トーマス・トゥヘル元監督(現:バイエルン)の下で“主役”としては起用されなかった。

 不完全燃焼となったチェルシー復帰1年目を終え、ルカクはわずか1年で古巣インテルへの復帰を希望。チェルシー側もその要望に応じ、昨年7月から2022-23シーズン終了までの1年間の期限付き移籍でインテルに復帰した。負傷の影響で離脱する期間もあったが、終盤に活躍を見せ、最終的には公式戦37試合出場で14ゴール7アシストを記録。チャンピオンズリーグ(CL)決勝進出にも貢献していた。

 また、2010年3月にはベルギー代表デビューを飾った。以降は長年にわたって主力に君臨しており、FIFAワールドカップにも3大会連続で出場している。現在は代表チームで背番号「10」を着用。これまでに公式戦通算108試合の出場で75ゴール15アシストを記録している。

 ローマへの期限付き移籍加入が決まり、ルカクはクラブ公式HPを通してコメントを発表。ファン・サポーターとクラブの雰囲気が加入を後押ししたと明かしつつ、新天地での意気込みを語った。

「このクラブとファンが与えてくれた歓迎は、僕をワクワクさせ、新しいチームのためにすべてを捧げることを決める特別な動機となった。対戦相手として『スタディオ・オリンピコ』の雰囲気を味わっていたから、ローマのファン・サポーターの情熱は知っていたんだ。このクラブの一員となれて嬉しいね」

「ここ数日、オーナーを筆頭にクラブの人々と会う機会があり、彼らの野心に感銘を受けた。今は謙虚に僕の仕事に取り組み、試合ごとに成長していくことだけを考えている。僕個人としては、ピッチの内外を問わず、チームメイトのために自分の力を発揮することを楽しみにしている」

 2023-24シーズンのセリエAは既に開幕しており、ローマは第2節を終えた時点で1分1敗と未勝利が続いている。次節は9月1日に行われ、本拠地『スタディオ・オリンピコ』に2連勝スタートを切ったミランを迎える予定だ。『スカイスポーツ』は同試合にルカクが帯同する見込みだと報道。チェルシーマンチェスター・ユナイテッドでもタッグを組んだジョゼ・モウリーニョ監督の下で、ルカクローマの“エース”として活躍することができるだろうか。

【動画】ローマユニフォームを身に纏ったルカク

現在ベルギー代表では10番を背負うルカク [写真]=Getty Images