がんの治療で自慢の髪を失った祖母を見たイギリス人女性は、のちに「不自然カツラでなはく、おしゃれなエクステ(付け毛)のサービスを提供したい」と心に決め、2年前に小さな店を開いた。そんな女性の店で施術を受けた18歳の円形脱毛症の少女の動画が最近、英ニュースメディア『The Daily Star』で紹介されて注目を集めている。

ピーターバラに住むステファニー・プラストウさん(Stephanie Plastow、42)が、地元でヘアサロン「アイコニック・ファッキン・ヘア(Iconic Fckin Hair、以下IFH)」をオープンしたのは2021年のことだった。店は脱毛や抜け毛の悩みを持つ人々を中心に、エクステやヘアカラーなどのサービスを提供するもので、現在はなかなか予約が取れないほどの人気だという。

ステファニーさんが初めてエクステに興味を持ったのは15、16歳の頃で、クリップ式のエクステを自分で作り、気に入った色に染め上げておしゃれを楽しみ、頼まれれば販売もした。

そして19歳になると、学校に通ってメイクやヘアについて学び、その後はメイクアップアーティストとしての経験を積んでいった。また一度は不動産販売・マーケティング会社でも働いたが性に合わず、そのうち「エクステを使った仕事をしたい」と考えるようになったという。

きっかけは、70年代に流行したハイレイヤーのヘアスタイルファラ・カット」を自慢にしていた祖母ががんにより髪を失ったことで、「当時は人工毛を使った不自然で野暮ったいカツラしか手に入らなかったのよ」とステファニーさんは回顧する。

そうして数社でエクステについて学び、経験を積んだステファニーさんは、サロン2店舗をオープン。しかし「もっと顧客に寄り添っていきたい」と2021年に事業を縮小してIFHをスタートさせた。

オープンから2年が経つIFHの顧客の多くが、自分の髪を引き抜いてしまう抜毛症、円形脱毛症、抗がん剤での脱毛、漂白剤の使いすぎなどで悩んでいるという。約530キロ離れたスコットランドからわざわざやってくる人もいるそうだ。

それだけに施術を終えると涙を流して喜ぶ人が多く、ステファニーさんは「彼らは涙を流してハグしてくるの。『あまりにもナチュラルで信じられない』と言ってね。そうして鏡でありとあらゆる角度から髪をチェックするのよ」と明かす。さらに「あなたが私の人生を変えてくれたの!」と言ってくれる人もいるそうで、IFHのInstagramは顧客のビフォーアフターの写真や動画が溢れている。

そしてそんな顧客の一人、リリーさん(Lily、18)の動画は大きな反響を呼び、英ニュースメディア『The Daily Star』などが紹介して注目された。

ショートヘアーのリリーさんは8歳から円形脱毛症で悩み、母親がIFHを見つけて連絡してきたそうで、ステファニーさんは「彼女はこれまでステロイドを服用したり、別のサロンカツラやエクステを試したり、何度もカウンセリングや医師の診察を受けてきた。それに発毛を促す頭皮注射までしていたのよ」と明かしていた。

動画では、リリーさんが施術後、ブロンドのフワフワしたロングヘアになった自分を見て、思わず涙を流す姿が映し出されており、ステファニーさんは「こんな姿を見ると私までもらい泣きしてしまうのよ! これだからこの仕事はやりがいがあるの!」と喜びのコメントを残していた。

なおリリーさんの施術は「メッシュ・インテグレーション・システム」と呼ばれるもので、頭皮が呼吸できるように開発された低刺激性のメッシュを頭に被せ、その上に本物の人間の毛髪がついたヘアピースを縫うように取り付けていく。4~5週間毎に調整が必要で、8~10週毎にメッシュを外さなくてはならないものの、エクステは9~12か月は持ち、自然な仕上がりが好評を得ているそうだ。

画像は『ICONIC FCKIN HAIR / SALON & EDUCATION 2023年5月31日付Instagram「LOVED doing this mesh integration」、2023年6月3日付Instagram「This is why I love what I do!」、2023年7月15日付Instagram「Hello beautiful’s!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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