「子どもの貧困に、本質的解決を。」をミッションに掲げる認定NPO法人 Learning for All (本部:東京都新宿区、代表理事:李炯植、以下「LFA」)は、2022年度の成果を報告する年次報告会を開催し、総勢138名のみなさまにご参加いただきました。報告会では、LFAが2016年の居場所づくり事業を開始して以来、継続して行ってきた政策提言が「児童育成支援拠点事業」としての法定事業化につながったこと、こども家庭庁の委員就任、認定取得といった内容について共有をさせていただきました

  • 報告会レポート

報告会では、LFAが取り組む3つのアプローチに沿って2022年度の活動報告を行いました。

以下報告会の一部を抜粋しご紹介いたします。

アプローチ1.一人に寄り添う

「一人に寄り添う」アプローチでは、複数の自治体において「地域協働型子ども包括支援」の実践を行っています。

2022年度は、37の直営サービスを展開し、合計1,356名の子どもを支援しました。

代表の出身地である尼崎においては、関西初の拠点を開設し、尼崎市の子ども支援の最前線で日々活動している行政と民間支援団体の職員に向けて、 5回に渡り研修を実施しました。 行政と民間、立場は違えど、同じ研修を受けることで、お互いの理解を深め、より尼崎市の子ども支援の協働体制を 強化することを目指しています。

アプローチ2.仕組みを広げる

「仕組みを広げる」アプローチの主な取り組みは、下記の3つです。

今回の報告会では特に下記3つについてご報告させていただきました

・子ども支援に関するノウハウ共有サイト『こども支援ナビ』

子どもたちの抱えている複雑な課題に対して、一つの専門性では対応しきれないのが子ども支援。

「こども支援ナビ」では、困難を抱える子どもに対する学習支援・居場所づくり・子ども食堂などを運営する方向けに情報発信・交換を行っています。

2023年8月現在の月のユニークユーザー数は5,000程度まで伸びており、着実に利用者が増えています。

関東圏にいると同じように子ども支援を行っている団体同志で情報交換をすることもできますが、地方やスターターの団体だと繋がることすらも難しいのが現状です。そんな中で、ナビを通じて全国の支援団体様をサポートすることで、間接的にそのエリアの子どものサポートにも繋がっていると考えます。

・『ゴールドマンサックス地域協働型子ども包括支援基金』

2021年度にスタートした本基金は、2022年度に4団体のタイプBへの助成が無事終了し、タイプAの4団体には総額2400万円の継続助成を決定しました。

助成先における成果の一例として、宮城県仙台市で活動する団体が本助成を活用し実施した「オンライン学習支援」の重要性が認められ、自治体で予算化された事例をご紹介しました。

・『コロナ物価高で増える「虐待」を防ぐ 緊急居場所支援事業』

今年度新たにスタートした、READYFOR株式会社とのコンソーシアムによる休眠預金を活用した助成金・伴走プログラム。

LFAによる子どもの居場所の運営経験や、居場所の立ち上げ支援の経験を活かし、虐待予防を目的とした支援のノウハウ等の提供や、令和6年度以降の法定事業の受託による事業継続を視野に入れた行政連携等の支援、READYFORによるプロジェクトマネジメントのノウハウや運営業務のDX化、資金調達や広報の計画策定支援等を通じた団体の事業基盤強化など、非資金的なサポートを行います。

(助成先決定のお知らせはこちら:https://learningforall.or.jp/news/info230712

アプローチ3.社会を動かす

2022年度は、こども家庭庁発足に向け、国内の子ども政策が大きく動いた一年でした。

LFAとしては、政策提言において、子ども政策に積極的な議員との定期的な勉強会を開催したり、各種法律の成立前後のタイミングを見据え、地域協働型子ども包括支援を行うためのポイントをまとめ国へ提言を行うなど、積極的な働きかけを行ってきました。

結果として、団体の居場所づくり事業がモデルとなった「児童育成支援拠点事業(※)」が法定事業化されました。他にも、拠点を展開している自治体(戸田市つくば市)におけるアドバイザー就任や自主事業の行政事業化(板橋区)など、国や様々な自治体に実践を認めていただきました。

養育環境等に関する課題を抱える児童について、当該児童に生活の場を与えるための場所を開設し、情報の提供、相談及び関係機関との連絡調整を行うとともに、必要に応じて当該児童の保護者に対し、情報の提供、相談及び助言その他の必要な支援を行う事業

今後も引き続き、子どもの声に耳を傾け、支援現場で得た知見を活かしながら提言を進めてまいります。

  • 参加者に向けた、寄付・社会課題に関するアンケート

「子どもの貧困」という社会課題の解決をより加速させていくためには、職員のみならず、寄付やその他の活動で応援くださる方々の存在は不可欠です。

今回、その課題解決に向けて一緒に取り組む仲間であるサポーターの皆様がどのような思いでいるかを知るため、報告会の参加者に向けて寄付・社会課題に関するアンケートを実施させていただきました

日本における個人寄付に関するデータを見ると、一度でも寄付をしたことがある割合は20代で25.5%、30代でも35.0%(出典:日本ファンドレイジング協会『寄付白書2021』)と、若い世代ではそう多くありません。そんな中で、今回のLFAの報告会の参加申込者の年齢の割合は30代以下が4分の1を占めており、若い世代でも、寄付やLFAの活動に関心を寄せてくださる層が一定数いらっしゃいます。

LFAに限らず、今までの寄付を振り返って「寄付してよかった・意義があった」と回答された方は、93.3%(その他感じたことがないが2.3% 、寄付したことがないが4.4%)。

「寄付してよかった・意義があった」と感じた具体的な場面は、「支援先から寄付が役立ったエピソードを聞くことができた時」や「応援している活動が前に進んでいることを知ることができた時」など様々でしたが、自分の寄付が有意義に活用されていることを知ることで、高い満足度を感じられています。

60%の方が「周りの方と寄付について話す機会がある」と回答。そして「誰と寄付について話すか」という質問には、ご家族のみならず、同じ程度の割合で友人・知人と、そして半数以上の方が仕事を通じて知り合った方とも「寄付」について話されています。

今回のアンケートでは、寄付や社会課題に関わりを持っている方の周りには、同じく関心を持たれている方が多いという傾向が見られました。少し勇気を出して「寄付」「社会課題」というワードを会話の中で出してみることが、課題解決の一手になるかもしれません。

  • LFAのこれから

コロナ禍・物価高の影響により、子どもを取り巻く状況はさらに深刻化しています。

2022年は「児童育成支援拠点事業」が法定事業化されるなど、「子どもの声から社会を変える」ことを実装できた一年だったと感じつつも、小さな成功に満足せず、より変革を前に進めたいと考えています。具体的には、直営拠点での公民連携型の子ども支援の継続(特に虐待予防/対応、行政連携を強化)や全国の団体や自治体への中間支援の強化、国の委員や自治体のアドバイザー業務を通じた政策提言活動等です。そして、どのような社会が求められているのか、どんな支援が求められているのか、我々は何をすべきかを改めて子どもたちと一緒に考え、新たなチャレンジを構想する一年にしていきます。

学習支援事業を開始して13年、長く続けてきたからこそ見える子どもの変化や政策の変化がありました。今後も、たくさんの方と一緒に手を繋いで仲間になり、本質的な活動を継続していきます。

また、支援する・されるという立場を超えた先にあるものなど、応援してくださる皆様との対話を継続的に行っていきたいと思っています。

次のアクションとして、年次報告書の座談会に登場した職員との対話イベントを計画しています!詳細が決まりましたら改めてご案内します。

※座談会の記事は、下記年次報告書のP.19-21からお読みいただけます。

https://learningforall.or.jp/assets2/pdf/Learning_for_All_2022_Activity_Report.pdf

配信元企業:認定特定非営利活動法人 Learning for All

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