試合後に笑顔で勝利を喜んだ渡邊と比江島。彼らを中心とした日本の快進撃は止まらない。(C)Getty Images

 悲願のパリ五輪へ――。日本代表が出場権獲得に王手をかけた。

 8月31日、沖縄アリーナで「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」(W杯)の17-32位決定ラウンドが行われ、グループOでは男子日本代表(世界ランク36位)がベネズエラ代表(同17位)を86-77で逆転勝ち。W杯として1967年ウルグアイ大会以来となる1大会2勝目を挙げた。

【動画】「マコは止められない」日本を救った比江島慎のファインショット

 試合後に渡邊雄太が「37分ぐらい相手のペースでした」と振り返ったように、この日は序盤から格上のベネズエラに主導権を握られ、第3クオーターまでにリードを許す苦しい展開だった。それでも“アカツキ・ジャパン”の精鋭たちは奇跡を起こす。

 9点差にまで迫って迎えた勝負の第4クオーターで、河村勇輝の速攻、そして開始4分22秒から比江島慎が3ポイントを含めた連続得点を決め、じわりじわりとベネズエラを追い上げる。

 そして、試合終了まで残り2分50秒時点で3点差とした背中をとらえた日本は、まず渡邊のフリースロー2本で1点差とすると、比江島がファウルを受けながらシュートを決め、ゲーム最大の15点ビハインドを逆転。最後は戦意を失っていたベネズエラを尻目に危なげなく逃げ切った。

 1次ラウンド第2戦のフィンランド戦に続くアップセットで、今大会2勝目を挙げた日本。他国の結果により、パリ五輪の出場権を獲得は持ち越しとなったが、9月2日に行われるカーボベルデ代表(同64位)戦に勝利すれば、アジア勢最上位となり、自動的に出場権を手にする。

 大舞台にまた一歩近づいた日本の快進撃は、海外とりわけ五輪出場権を争うアジア諸国のメディアでも大きな話題となっている。中国のスポーツメディア『捜狐』は「比江島と河村が日本を覆った勝利への不安を払拭させた」とベネズエラ戦を速報。そのなかで「重要なゲームでの逆転劇によって、日本は五輪出場をほぼ確定させた」と力強い試合運びを見せたライバルに脱帽した。

 また、同じく中国メディア『新浪体育』の取材に応じた地元解説者のシュー・ジンユー氏は、「我々は日本の強さを称えなければいけない」とコメント。母国代表の現状について「今大会の中国はあまりに酷い負け方を繰り返してしまったのが残念だ」としたうえで、「日本は以前とは比べ物にならないぐらいに強くなっている。厳しい試合を目の前にしても、逆転できる空気を作れているのは本当に素晴らしい」と絶賛した。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


「日本の強さを称えなければ」再び奇跡の逆転劇を演じた日本代表に中国メディアも脱帽「比べ物にならない」【バスケW杯】