エンゼルスでは精彩を欠いたジオリト。そんな彼を球団は放出する決定を下した。(C)Getty Images

 本人たちにとっても寝耳に水。まさに衝撃の一報だった。

 現地8月29日、米スポーツ専門局『ESPN』をはじめとする複数の米メディアは、エンゼルスが先発右腕のルーカス・ジオリト、救援投手のマット・ムーア、レイナルド・ロペス、ドミニク・リオーネ、そして外野手のハンター・レンフロー、ランダル・グリチェクをウエーバーにかけたと一斉に報道。今夏のトレード市場で獲得した選手を中心に無償放出を決断した。

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 球団の狙いは明白だ。ずばり年俸削減である。仮に上記の6選手が去れば、700万ドル(約10億2200万円)が浮き、チームの総年俸額は贅沢税の課税対象となる2億3300万ドル(約340億1800万円)を下回る見込みとなるのだ。

 トレード市場で積極補強を慣行するも、8月は8勝19敗と大きく負け越したエンゼルス。まさに地獄のような夏を過ごし、悲願のポストシーズン進出の可能性が限りなくゼロになった彼らにとって、今オフにFAとなる選手たちの放出は必然である。

 しかし、この情報は当事者である選手たちには知らされてしなかったという。今夏にホワイトソックスからトレードで移籍しながらも放出され、皮肉にも電撃的な解体の「象徴」となったジオリトは『ESPN』の記事において、チームの意向を自身のX(旧ツイッター)で知ったという。

 エンゼルス移籍後は、6試合で1勝5敗、防御率6.89と精彩を欠いていた25歳の右腕は、こう漏らしている。

「驚いたと言うべきだろうね。けど、結局はビジネスだ。こうして、凄くおかしなビジネスになることもある。とにかく、ここから前に進むしかないよ」

 この球団が独断的に進めたとも見える決定には、懐疑的な声も上がっている。米メディア『Halos Today』は「年俸の削減をすることで将来を見据えている」とエンゼルスの行動に一定の理解を示しながらも「非常に奇妙な動きなのは間違いない。結局はビジネスだが、選手たちも人間だ。彼らにとっては、フィールドでの出来事にも影響する」とウエーバーにかけられた選手たちを慮った。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

寝耳に水の決定に「非常に奇妙」 “放出”をSNSで知ったエ軍右腕の去就に米メディアも悲観「選手も人間だ」