捕手を座らせての投球練習も再開した佐々木朗。復帰時期に注目が集まる(C)Getty Images

 左脇腹の肉離れで出場選手登録を抹消されているロッテ佐々木朗希8月30日に一軍練習に本格的に合流した。その前日の29日にはブルペンで捕手を座らせての投球練習も再開。これまで故障後は2度、ブルペンで捕手を立たせた状態の「立ち投げ」を行っていたが、無事に次のステップに進んだことになる。

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 春季キャンプでも投手は仕上がりに応じて「立ち投げ→捕手が中腰→捕手を座らせる」と進むのが通常のプログラム。吉井理人監督によると、2度目のブルペン8月27日だったそうで、中1日で投球練習をしたことになる。事前に組んだ練習計画に従ったものなのか、イレギュラーな投球だったのかは分からないが、故障の再発を心配しなくていいほどの状態ではあるようだ。

 佐々木朗は7月24日ソフトバンク戦で故障し、左内腹斜筋損傷で全治2か月の診断を受けていた。わずか1か月で通常の練習ができるレベルになっていることは驚異的な回復力を意味する。このままいけば9月中の実戦復帰が見込めそうで、全快した状態でクライマックスシリーズに向けて準備することもできる。

 ただ、SNSなどではあいかわらず「無理しなくてもいいのにね」「着実に確実に治ってほしいと願っています」と故障再発を危惧する声が多い。特に脇腹は投手が痛めやすい部位で完全に治さないとクセにもなりやすいからだ。

 佐々木朗のチームメートでクローザーとして要の役割を務める益田直也も選手寿命を伸ばすには腹斜筋が大事と唱える1人。2年前の自主トレでも「いろんな動きにしても身体の軸がしっかりして動く。他のところに力みも出なくなる」と鍛える効果について話していたほどで、チームメートを中心に信奉者も多い。

 ロッテは投手王国でもある。先発陣も西野勇士小島和哉種市篤暉と3人が好調で、他に前巨人のメルセデス、ベテラン美馬学がいる。上肢のコンディション不良で開幕投手を辞退し、開幕二軍スタートとなったエースの石川歩も二軍で順調に調整登板を重ねており、シーズン終盤に一軍復帰する期待も高まっている。

 そのため、佐々木朗を抜きにして先発ローテを組んでも問題なさそうだが、オリックスの独走を許している状態でリーグ優勝は難しい情勢。やはり10月のクライマックスシリーズ(CS)が勝負どころと見据えているようだ。特にCSは短期決戦だけに、先発は能力や実績の高い投手をつぎ込んだ方が計算がしやすい。佐々木朗が仮に5回100球しか投げられなくても、そこまでに試合をつくることができれば、益田、ペルドモといった救援陣で乗り切ることもできる。

 そのほか、来季に向けて試合勘をできるだけ鈍らせないようにあえて終盤戦に登板させたいのでは、との指摘もある。来季は開幕投手に起用することも考えられており、2月のキャンプ中の実戦まで、7か月近く登板機会がないのはさすがに心もとない。

 もちろん、無理は禁物だが、日本一を目指すには駆り出さざるを得ない人材でもある。今季中に実戦復帰させるかは指揮官の決断次第だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

佐々木朗希、CS登板に間に合うか 一軍練習に本格的に合流