2023年9月1日(金) から10月29日(日) にかけて、いよいよ「東京芸術祭 2023」が開催される。

東京の多彩で奥深い芸術文化を通して世界とつながることを目指し、毎年秋に豊島区池袋エリアを中心に開催しているこの芸術祭。今回の開催で8年目を迎える。

この“都市型総合芸術祭”、今年は舞台芸術の上演・配信・地域を巻き込む催しなどからなる「東京芸術祭プログラム」と、⼈材育成と教育普及の枠組みである「東京芸術祭ファーム」の2本の柱の構成に再編され、全19プログラムが池袋周辺エリアを中心に展開する。ディレクター・宮城聰は開催に際し、「今の日本をいっそ『落ち目の国』とていぎしてしまうのではどうでしょう」と提案。「落ち目から復活できた国はどんな国かと見てゆくと、それは『人間は楽しむために生きていいんだ』という考えが堂々と認められている国だ、ということに気づきます(中略)お祭りのないところにお祭りを作るのは、いまや行政の仕事だと言っていいでしょう。今の日本の状況を根底から変えるには、国民が国に対して『人生を楽しませろ!』と堂々と要求していいはずです」とメッセージを寄せた。

■ディレクター・宮城聰 コメント

世界を反転させて
陽気になる⽅法

明⽇は今⽇より良くなる、と思っている⼈が、減ってしまった気がします。
⽇本という国のイメージが、たとえば「全体として古くなった服」のような感じで、どこかの⽳を修繕すればV字回復する、とは思えない。ホツれを直そうとすると別のところが薄くなって⽳があく。そういう感じかもしれません。もしそうなら、最上の策はみんなで我慢すること、となりそうですが、明⽇が今⽇より良くなると思えずに我慢していても何も⽣まれないんじゃないかと⼼配になります。
そこで提案したいのですが、今の⽇本をいっそ「落ち⽬の国」と定義してしまうのはどうでしょう。そんなことしたら⼀層元気がなくなるぞというご意⾒もあるかと思いますが、でも「落ち⽬」を経験 した国って、歴史上にいくつもありますよね。 ⽇本以外にも⾊々な前例があると知れば、⼼に余裕 ができるのではと思うのです。
⼼に余裕ができる。ここからいきなり結論に⾶びますが、落ち⽬から復活できた国はどんな国かと⾒てゆくと、それは「⼈間は楽しむために⽣きていいんだ」という考えが堂々と認められている国だ、ということに気づきます。たしかに、⽣きていて楽しい、と思える国は滅びないですよね。この楽しみを次世代にも、と⼈々が思うから。みんなで我慢する、の真逆の策です。
で、⼈間が⼈⽣を楽しむために発明した “⼈類の知恵” が、「お祭り」です。 誰でも参加できるお祭り
そしてお祭りのないところにお祭りを作るのは、いまや⾏政の仕事だと⾔っていいでしょう。 今の⽇本の状況を根底から変えるには、国⺠が国に対して「⼈⽣を楽しませろ!」と堂々と要求していいはずです。
そしてまたいきなりですが。
今年の秋、東京は、ちょっと頑張って、東京芸術祭をやります。

19のラインアップの詳細は以下(一部プログラムは8月から実施)。

<「東京芸術祭 2023」 19ラインアップ>
【東京芸術祭プログラム】
SPAC-静岡県舞台芸術センター
野外劇『マハーバーラタ 〜ナラ王の冒険〜』

Photo by K.Miura

演出:宮城 聰
台本:久保⽥梓美
⾳楽:棚川寛⼦
⽇程:未定
会場:未定

芸劇オータムセレクション
東京芸術劇場 Presents ⽊ノ下歌舞伎『勧進帳』

監修・補綴:⽊ノ下裕⼀
演出・美術:杉原邦⽣[KUNIO
出演:リー5世 坂口涼太郎 高山のえみ 岡野康弘 亀島一徳 重岡漠 大柿友哉
スウィング:佐藤俊彦 大知
⽇程:9⽉1⽇(⾦)〜24⽇(⽇)
会場:東京芸術劇場 シアターイースト

ロロ
オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)』

テキスト・演出:三浦直之(ロロ)
出演:大場みなみ 北尾亘(Baobab) 田中美希恵 端田新菜(ままごと)福原冠(範宙遊泳) ほか
⽇程:10⽉7⽇(⼟)〜15⽇(⽇)
会場:東京芸術劇場シアターイースト

芸劇オータムセレクション
太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ
『⾦夢島 LʼÎLE DʼOR Kanemu-Jima』

作・出演:太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ
演出:アリアーヌ・ムヌーシュキン(2019年京都賞受賞)
創作ソシエイト:エレーヌ・シクスー
⾳楽ジャンジャック・ルメートル
⽇程:10⽉20⽇(⾦)〜26⽇(⽊) ※23⽇(⽉)休演
会場:東京芸術劇場 プレイハウス

くらしチャレンジクラブ

Photo:金川晋吾

ディレクション:阿部健⼀
⽇程:9⽉1日(金)〜10⽉29日(日) 
※⼀部プログラムを8 ⽉から実施(予定)
会場:豊島区内各所

とおくのアンサンブル

コンセプト・演出・作曲:とくさしけんご
⽇程:10⽉7日(土)・14日(土)上旬
会場:メトロポリタンプラザビル自由通路(JR池袋駅) /東京芸術劇場アトリウム東京芸術劇場 ほか 池袋エリア周辺

東京芸術祭ひろば

⽇程:10⽉11⽇(水)〜22⽇(⽇)
会場:東京芸術劇場 アトリエイースト

EPAD Re LIVE THEATER
~時を越える舞台映像の世界~

⼀般社団法⼈EPAD
⽇程:10⽉11⽇(⽔)〜22⽇(⽇)
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト

アトカル・マジカル学園
アートサポート児童館

ディレクション:多⽥淳之介
⽇程:10⽉13⽇(⾦)〜20⽇(⾦)
会場:東京芸術劇場 アトリエウエスト

アトカル・マジカル学園
かぞくアートクラブ

ディレクション:YORIKO
⽇程:10⽉14⽇(⼟)、15⽇(⽇)、21⽇(⼟)、22⽇(⽇)
会場:東京芸術劇場 アトリエウエスト

パフォーマンス展望室

構成・演出:居間 theater
⽇程:10⽉21⽇(土)〜29⽇(日)(予定)※23日(月)は休演
会場:ロサ会館 R階

東京芸術祭×愛知県芸術劇場× Dance Base Yokohama
パフォーミングアーツ・セレクション2023 in Tokyo

・柿崎⿇莉⼦ 新作 『Can't-Sleeper』
演出・振付:柿崎⿇莉⼦
共同振付:アリス・ゴドフリー
出演:柿崎⿇莉⼦、栗 朱⾳

・島地保武 × 環ROY 新作『あいのて』
演出・振付:島地保武
演出・⾳楽:環ROY
ドラマトゥルギー:⻑島 確
出演:島地保武、環ROY

⽇程:10⽉21⽇(⼟)〜22⽇(⽇)
会場:東京芸術劇場 シアターイースト

テアター・エカマトラ
『マライの⻁』を巡るトーク(事前上映つき)

⽇程:10⽉21⽇(⼟)、27⽇(金)
会場:東京芸術劇場 シンフォニースペース

【東京芸術祭ファーム】
公開レクチャーラボ 公開レクチャ
「舞台芸術と社会――価値、フェアネス、プロセス」

講師:林 ⽴騎
(翻訳者・演劇研究者/那覇⽂化芸術劇場なはーと)
⽇程:8⽉23⽇(⽔) ※公演終了
オンライン配信(Zoom

Asian Performing Arts Camp
In-Tokyo Sharing Session

登壇者:Asian Performing Arts Camp参加者:
莊義楷(チャン・イー・カイ)、スジャトロ・ゴッシュ、花形槙、薛祖杰(シュエイ・ツーチェ)、大貫友瑞

モデレーター(Asian Performing Arts Campファシリテーター):
⼭⼝惠⼦、ジェームズ・ハーヴェイエストラーダ

⽇程:10⽉9⽇(⽉・祝)
会場:東京芸術劇場 アトリエイーストアトリエウエスト

制作アシスタント

今後、国際的なフィールドで活動していきたいと考えている⽇本国内の舞台制作者が、国際的なプロジェクトのマネジメント経験を積むプログラム。参加者は、東京芸術祭ファーム「Asian Performing Arts Camp」の制作チームとして、海外アーティストの招聘業務や様々なバックグラウンドをもつ作り⼿たちのディスカッションを通じた学びの現場で、制作補助業務を⾏います。

アートトランスレーターアシスタント

⽇本語⇔英語の通訳・翻訳業務を通じて、創作現場のコミュニケーションをサポートしながら、 実践に根ざしたノウハウを学ぶプログラム。コミュニケーションデザインチームのもと、アートトランスレーターアシスタントとして東京芸術祭ファーム 「Asian Performing Arts Camp」の現場で活動します。

ファーム編集室 アシスタントライター

舞台芸術をつくり、届けるプロセスに「書く」を通じて参加する、実践的プログラム。「Asian Performing Arts Camp」のプログラムに⽴ち合い、その記録としての記事執筆を担当します。

スクール

舞台芸術を通して、考え、交流する学⽣のためのプログラム。 東京芸術祭に参加しているアーティストやスタッフなど舞台芸術に携わるプロフェッショナルと学⽣との対話、舞台芸術に関⼼がある学⽣間の交流の機会を提供します。

<イベント情報>
東京芸術祭 2023

2023年9⽉1⽇(金)〜2023年10⽉29⽇(日)
会場:
東京芸術劇場、ロサ会館、東京都豊島区池袋周辺エリアほか
主催:
東京芸術祭実⾏委員会[公益財団法⼈東京都歴史⽂化財団(東京芸術劇場・アーツカ ウンシル東京)、東京都
協賛:
アサヒグループジャパン株式会社
※内容は予告なく変更する場合があります。予めご了承ください。

公式サイト
https://tokyo-festival.jp/

東京芸術祭 2023