ジャニーズ事務所

8月29日ジャニーズ事務所ジャニー喜多川前社長による「性加害問題」を巡り、同事務所が設置した「再発防止特別チーム」が記者会見を実施。長期にわたるジャニー氏の性加害の事実を認定した。

マスコミに対しては、「報道機関として極めて不自然な対応をしてきた」「マスメディアの沈黙」と厳しい言及も。なぜ、マスコミは性加害問題を「スルー」し続けたのか──。

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■マスコミと性加害問題の歴史

ジャニー氏の「性加害疑惑」は、1980年代から噂されていた。88年に元フォーリーブス・北公次さんが著書『光GENJIへ 元フォーリーブス北公次の禁断の半世紀』(データハウス)で、ジャニー氏から性的行為を強要されたと告発。

1999年には、『週刊文春』が実際に被害を受けたとされる元ジャニーズJr.の証言をもとに複数回報じた。しかし、当時のテレビや新聞はこれらの「スキャンダル」を扱わなかった。

今年3月にBBCが特集番組でジャニー氏の性加害問題を報道し、その後元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏らが被害を告白したことで、大々的に取り上げるようになったのだ。


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■ネット上では厳しい声も

8月29日の「再発防止特別チーム」による会見後は、テレビ、新聞、雑誌が一連の騒動について厳しい論調で報じている。

ネット上では、「マスコミが沈黙どころかこの問題を押さえ込んでるから、加害者が50年以上好き放題できたんじゃないの」「BBCが調査しなかったら、マスコミはジャニーズ問題ここまで大々的にやったのか疑問」「ジャニーズ問題はマスコミも共犯だと思う」「芸能人の不倫やら政治家の失言は徹底的に叩いてるのに、ジャニーズの性加害は及び腰だった」など、これまでのマスコミの報道姿勢に対する厳しい意見があがっている。


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■長年「スルー」された背景は…

ジャニーズの性加害問題は、なぜ長年「スルー」されたのか。

あるテレビ局関係者は、「ジャニーズタレントは多くのドラマ、歌番組に出ており、テレビ局とは関係性が深いです。そうした付き合いがあるためか、性加害問題に限らず、ジャニーズ事務所にとってマイナスとなるような報道には消極的になっていたと思います」と振り返る。

事務所への批判をためらったのには、こんな事情もあったようだ。

「テレビや新聞は、基本的に横並び傾向になりがちです。他社が積極的に報じている内容には力を入れる反面、他社が扱わない内容には及び腰になる傾向があります。今回の件も、BBCの件を受けて『◯◯テレビはやってるからウチもやろう』となってしまった感は否めません」(前出・テレビ局関係者)。


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■「負の連鎖」が続いていた

日頃、芸能人の不祥事を厳しく追及する週刊誌も、性加害問題には消極的だった。『週刊文春』は90年代から継続的に取り上げていたが、他の週刊誌は大きく扱わなかった印象を受ける。

かつて週刊誌の記者をしていたAさんに見解を尋ねた。

「現場レベルでは、『(ジャニー氏の問題を)取材したほうがいいのではないか?』という意見があがったこともあります。ただ、それを上司に提案しても通らないんです。週刊誌を刊行する出版社も、ジャニーズタレントのカレンダーや雑誌のインタビュー取材等で付き合いがありますからね。『週刊文春』はそうした付き合いがないため、ジャニーズの問題にも深く切り込めます。ですが、ほとんどの週刊誌は、性加害問題を報じることでジャニーズ事務所との関係が悪化するのを恐れてしまうんです」(Aさん)。

ある種、「過剰な忖度」が働いたといえる。Aさんは、負の連鎖が続いたことも問題だと話す。

「上司が性加害問題を報じるのを避けていたのを見て、『この件は触れないほうがいい』という認識ができてしまうんです。そういう認識が受け継がれ、結果的に長年スルーし続ける事態になったと言えます。この負の連鎖は、週刊誌に限らず、テレビや新聞にも当てはまると思います」(前出・Aさん)。

「再発防止特別チーム」の会見を受け、ジャニーズ事務所に対する厳しい報道も見受けられる。小媒体含め、大手メディアのみならずマスコミにとっての「転換期」となるかもしれない。


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■執筆者プロフィール

斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。

某週刊誌の芸能記者を経て現職に。ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に取材。飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。

仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。今期の推しは、『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)と『ばらかもん』(同系)。『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)の行方も気になる毎日。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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