株式会社新潮社ケイト・デヴリン氏の著書『ヒトは生成AIとセックスできるか 人工知能とロボットの性愛未来学』を刊行します。

ChatGPTの登場以来、人工知能の話題がメディアに登場しない日はありません。産業構造や働き方を大きく変えることは間違いなさそうですが、もっと人間らしい生活の分野で、人工知能はどのように世界を変えるのでしょうか? 2013年公開の映画「her/世界でひとつの彼女」は対話型OSに恋をした男性の物語ですが、それは遠い未来の話ではなさそうです。人工知能が高度なロボットと出会う時、人間はそれに恋をしてしまうかもしれません。一方、人間が人間でないものに恋をしたり、セックスしたいと感じるのは今に始まったことではなく、古代ギリシャ神話の時代以来、連綿と続いています。

本書はセックスを切り口にして、人工知能とロボット技術という最先端のテクノロジーについて考察したものですが、結果的には歴史や法制度、宗教、倫理、認知科学などあらゆる面から「人間らしさ」とは何かを考える思考実験の書となっています。

著者のケイト・デヴリン氏はロンドン大学キングス・カレッジ、デジタル人文学部準教授。クイーンズ大学ベルファスト校で考古学を学んだのち、ブリストル大学でコンピュータサイエンスの博士号を取得、現在は現職でコンピュータ・インタラクションや人工知能を中心に、幅広いジャンルのサイエンスコミュニケーターとして活動しています。フェミニストでもあり、女性の立場からセックスとテクノロジーの関係が語られていることも本書の特色です。

本書冒頭を以下のページで読むことができます。

https://www.shinchosha.co.jp/book/507361/preview/

また、NETGALLEYの会員の方は全文を読むことができます。

https://www.netgalley.jp/catalog/book/299328

■作家・鈴木涼美さんが推薦

本書には、大学在学中にAV女優としてデビューし、東京大学大学院修士課程、日本経済新聞社を経て、現在は作家として活動している鈴木涼美さんが推薦文を寄せて下さっています。

「人と触れ合うのとロボットと触れ合うのは何が違うのか、セックスを経験しないAIに本当に人のことが理解できるのか、セックスロボットは売春を根絶させるのか、それらを考えることは私たちにとって本来的な性や愛とは何か、そして私たちが愛する者に何を求めるのかを考えることだった。セックストイやロボットの歴史を丁寧に振り返る議論の中に、性的な存在である人の姿が浮かび上がってくる」

■解説より

また、本書はNPO法人風テラス理事長であり、『未来のセックス年表2019-2050年』などの著書のある坂爪真吾氏による解説を収録しています。

「セックスロボットというテーマ自体が持つ面白さもさることながら、デヴリン氏の豊かな教養、ウィットに富んだ語り口、そして安易な善悪二元論を避け、余計な仮想敵を作らずに、事実をベースに問いを追究していく姿勢は、このセンセーショナルかつ賛否の分かれるテーマを扱う上でふさわしい。/コーンフレークマスターベーションの衝動を抑えるための粗食として開発された、男性向けの挿入型のセックストイは考古学的にはまだ見つかっていない、など誰かに話したくなる蘊蓄も満載である。彼女のガイドを受けながら、セックスロボットをめぐる様々な問いを考えていくことそれ自体が、読者にとって刺激的かつ心地よい体験になるだろう。/本書を通読したあなたは、「セックスロボットについて一家言を持っている人」になり、日々メディアを賑わせているAIと人間、社会との関係をめぐる問題についても、実りのある議論を行うためのスタートラインに立つことができているはずだ」

■目次

はじめに ロボットと人工知能が出会うとき

第1章 かつてきた道

セックストイの起源/バイブレーターとヒステリー/「遠隔ディルド」/野郎どもと女たち/

第2章 ロボットは奴隷かコンパニオン

ロボットの誕生/ロボットと強制労働/ケアとコンパニオンシップ

第3章 人工知能と語りあう

「考える機械」の歴史まとめ/機械に学習させる方法/私たちの脳内で実行されていること/ディープラーニング/機械に“意思”を出力させるには/遍在する音声アシスタント/〈Siri〉と語り合う方法/知能は定義可能か/

第4章 恋という字は下心

セックスは定義できるか/セックスについて語るのはなぜタブーなのか/宗教はセックスをどう扱ってきたか/セックスの民主化/ペットへの愛/アニミズム/擬人観と対物性愛

第5章 シリコンの谷間

工芸品のようなセックスドール/セックスロボットをめぐる詐欺/「私は製造された存在です」/男性型ドールに需要はあるか/ドール所有者は孤独な人びとか?

第6章 ロボットとセックスはどう描かれてきたか

女性のモノ化/音声アシスタントはなぜ女性の声なのか/「セックス・マキナ」/ほとんどのセックスは繁殖とは無関係である

第7章 セックスロボットの可能性

セックス、宗教、結婚/結婚は生き残れるか/「セックスフェス」英国名門大学にやってくる/高齢者のセックス事情/セックスをめぐる調査の困難さ/セックスに相手は不可欠か/定義が現実に追いつけない

第8章 セックスロボットはディストピア

「売春」か、「セックスワーク」か/禁止は地下化させるだけ/ポルノグラフィも変化してきている/セックスロボットと暴力/セックスロボットはレイプを減らすか/暴力とBDSM/セックスワークはどう変わるか/セラピーとしてのセックス/ロボットとは付き合うな?

第9章 セックスロボットと法

ロボットと不同意性交/セックスプライバシーは誰のものか/セックスプライバシーは人権侵害を引き起こす/セックスロボットの乗っとり/有名人に似せたセックスロボット

第10章 不気味の谷を越えて

エピローグ 愛しあうならテクノロジー

解説 坂爪真吾

■書籍データ

【タイトル】ヒトは生成AIとセックスできるか――人工知能とロボットの性愛未来学――

【著者】ケイト・デヴリン

【訳者】池田尽

【発売日】電子書籍9月1日、紙書籍9月19日

【造本】四六版ソフトカバー、320ページ

【定価】2,310円(税込)

【ISBN】978-4-10-507361-9

【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/507361/

配信元企業:株式会社新潮社

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