アリゾナ州で8月22日、タクシー配車サービス「Uber」の運転手を装った男に女性が連れ去られる事件が発生した。車に乗せられてしまった女性は一時、結束バンドで拘束されるなど乱暴な扱いを受けていたが、隙を見計らい、勇気を出して起こした行動のおかげで保安官が出動し、女性は無事に保護されて犯人の逮捕に繋がったという。米ニュースメディア『KABC-TV』などが報じた。

事件は8月22日午前7時、米アリゾナ州フェニックスにある自動車販売店で発生した。同店を訪れた女性が、かつらを被ってUberの運転手を装ったジェイコブ・ウィルホイット(Jacob Wilhoit、41)の車に乗せられ、連れ去られてしまった。ジェイコブは女性を車に乗せたままネバダ州ラスベガス方面へ向かい、その日の夜はアリゾナ州とネバダ州の境にあるミード湖の公園で過ごした。

そして翌日の午後5時ジェイコブはアリゾナ州セリグマンにあるシェブロン(Chevron)のガソリンスタンドに立ち寄った。その際に女性は隙を見て、ジェイコブにバレないよう、近くにいた人に小さなメモ用紙を手渡した。そのメモには「助けて。911(緊急通報用電話番号)に通報して。青色のホンダの車」という文字や、行き先、電話番号などが走り書きされていた。

このメモを受け取った人はすぐに通報し、アリゾナ州ヤヴァパイ郡の保安官らが駆けつけた。保安官らが現場に到着すると、ジェイコブと女性はガソリンスタンドを去ってしまっていたが、メモを受け取った人から2人の人相と車が向かった方面などの情報を得ることができた。

その後、アリゾナ州公安局と連携を取り、州間高速道路40号線を走行していたジェイコブの車を発見し、被害者の女性は無事に保護された。車には銃器が積まれており、ジェイコブは誘拐、監禁、加重暴行、脅迫、その他の暴行罪などの容疑で逮捕された。保安官事務所の調べによると、ジェイコブと被害者の女性は面識があり、被害者の母親が行方不明届を出していたことが分かった。母親は心当たりがあったようで、ジェイコブは重要参考人として登録されていた。

ヤヴァパイ郡保安官事務所のクリスティン・グリーン広報担当官(Kristin Greene)は「多くの人は、メモを渡してきた被害女性の行動をクレイジーだと思うかもしれません。しかし幸いなことに、メモを受け取った人は事態を深刻に受け取り、私たちに通報してくれたのです。メモを渡した被害者の素晴らしい行動力やメモを受け取った人の協力、そしてアリゾナ州公安局とヤヴァパイ郡保安官事務所の迅速な対応が被害者を救ったのです」とコメントした。被害女性は一時的に結束バンドで拘束されていたという報道もあり、危険を冒しながらも助けを求めた勇気を称賛された。

ちなみに2019年11月には米オハイオ州で、「ピザの注文」を受けた911オペレーターが、通報女性の“SOS”に気づき家庭内暴力を受けていた女性を救ったケースが大きな話題を呼んでいた。

画像は『NBC News 2023年8月24日付「An abducted woman was rescued after slipping a note to a customer at a gas station, police say」(Yavapai County Sheriff’s Office)』『Metro 2023年8月26日付「Woman ‘kidnapped by fake Uber driversaved after slipping note to stranger」(Picture: Yavapai County Sheriff’s Office)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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