習近平

福島第一原発の処理水放出を受け、中国が態度を硬化させている。


■中国に異常な対応

韓国では一部反対勢力による大使館前などで抗議デモが発生したが、ユン政権はそれを容認する姿勢だ。南太平洋や欧米諸国も基本的に同様の姿勢で、中国による対応は極めて“異常な”ものになっている。

東北や関東沿岸部からの輸入停止を超え、沖縄や北海道を含む日本全土からの輸入停止など、全く根拠がなく、その背景に政治的意図があることは間違いない。


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■台湾と先端半導体

今回の中国側の対抗には、沸点に近づく中国の日本への不満がある。中国が核心的利益に位置づける台湾を巡り、近年米中の間では緊張がこれまでになく高まっている。

台湾への武力侵攻を否定しない政権は、有事の際米軍が具体的にどの程度関与してくるかを注視しているが、その米軍はまずは在沖縄米軍がカギを握ることになる。中国としては、日本が米国や台湾と有事を想定した協力を深めることに対して強い不満があり、日本を第三勢力ではなく、紛争当事者として認知している。

もう1つの大きな理由が、先端半導体だ。軍の近代化を急いで進めたい中国としては、ハイテク兵器で欠かせない先端半導体がどうしてもほしいのだが、米国は日本やオランダなど友好国や同盟国と協力しながらそれを抑えようとしている。

中国は、日本が米国からの求めに応じる形で、7月下旬に先端半導体23品目で対中輸出規制を始めたことに強く反発している。


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■さらなる対日報復も

おそらく今回の全面輸入停止は、今後さらに激化する日中軋轢の1つに過ぎない。中国側の対日姿勢は厳しくなる一方で、現在のところ、それが良い方向で向かう兆しはゼロに等しい。

今後もさらなる対日報復措置が行われるリスクを我々は理解するべきだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

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