高齢者・老人・老女・犬

犬は他の動物に比べ、感情が豊かではっきりとした意思を持つと言われている。アメリカで今、動物保護施設から逃げ出した1匹の犬のストーリーが、大きな関心を集めているようだ。『NEW YORK POST』や『Detroit Free Press』が報じている。


■保護施設から脱走

話題になっている犬は、ミシガン州のベレアという街に暮らす「スカウト」。地元の老人ホーム『メドー・ブルック医療施設』で飼われている。

スカウトは以前まで近くの動物保護施設にいたが、ある晩そこを脱走し、高速道路を横切るなど命がけで同ホームにたどり着いた。

翌朝、出勤してきた看護師がロビーのソファで寝ているスカウトを発見し、アントリム郡動物管理局に迷い犬がいることを伝えたという。


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■何度も戻ってくる犬

そこで、前日の夜に保護施設から脱走した犬だったことがわかり、ホームの職員はスカウトを連れてそこへ。だが翌日の夜もスカウトは同じように逃げ出し老人ホームへ行き、再び職員に連れ戻された。

以降、数回にわたり同じことが繰り返され、ホームの管理者であるマーナ・ロバートソンさんは、お手上げの状態に。「いっそスカウトを引き取ってはどうか」と考えたのだった。

ホームの入所者たちの多くは認知症で、末期のがん患者や、身寄りのいない高齢者もいるという。


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■にこやかになった入所者たち

そんな入所者たちも、スカウトが来てからはにこやかで、孫と遊んでいるかのような明るい表情を見せるようになった。

マーナさんは当時を振り返り、「私はそれを何かのサインだと感じました。『意図されているのなら、そうしなければ』と思ったのです」と語る。

またスタッフのロンダ・トムザックさんは、「ここで動物を飼うことは許されていないので、スカウトがいると、自宅にいてペットと過ごすような気分にもなれるのでしょう」と話している。


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■かつては虐待に遭っていた

スカウトはかつて飼われていた家で虐待に遭い、保護施設でもしばらく怯えていたという。しかし今では、すっかり入所者たちのアイドルになった。

ホームではリードを繋げず、施設内を自由に動き回れるようにしているそうで、入所者の部屋のドアを自分で開けて入り、おやつをもらったり、横にじっと座って話の聞き役になったりもする。

体の弱い高齢者に優しく寄り添うスカウトは、「ここにいる全員の大切なペット。来るべき場所を知っていたのでしょう」とスタッフは語っている。

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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ

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