購入した物件をほったらかして毎月50万円の利益を得ている株式評論家の坂本慎太郎氏が考えた不動産投資の方法は、不動産投資家が「ずるい!」と思うやり方なのだとか。今回はそんな投資法について、坂本氏の著書『ずるい不動産投資 手間暇かけずに毎月50万円の家賃が入ってくる築古区分マンション投資入門』(東洋経済新報社)から、一部抜粋してご紹介します。

不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン

本書は、私が実践している不動産投資について詳しく解説しています。

株式評論家として仕事をしている私がなぜ、不動産投資の書籍を出そうと思ったかというと、本業の株式投資や株式評論家の仕事がうまくいかなくなってきたので、違う分野に進出しよう、と思ったわけではありません(笑)。その理由を、株式投資と不動産投資について比較しながらお話ししたいと思います。

不動産投資の収入には、大きく分けて 「キャピタルゲイン」 と 「インカムゲイン」 の2つがあります。

キャピタルゲインは、不動産の売却益です。

物件の購入価格やリフォーム代などのコストよりも高値で売ることができた場合の利益です。株式投資において、買った値段よりも株価が上昇したときに売れば、その差額が利益になるのと同様です。

インカムゲインは、いわゆる家賃収入です。

住居でしたら入居した人が払う家賃、駐車場でしたらそこを借りている人が払う駐車場代です。そこから手数料や管理費などのコストを引いたものが利益として手元に残ります。仕組みは違いますが、株式投資の配当と同じように所有しているだけで受けとることができます。

不動産投資も株式投資も、キャピタルゲインとインカムゲインという一見同じような仕組みでお金が入ってくるような印象を受けますが、それぞれの投資の性質は大きく違っています。

結論から言ってしまうと、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」であり、株式投資は「ハイリスク・ハイリターン」です。

もちろん、株式投資もリスク管理や分散投資を行うことで「ミドルリスク・ハイリターン」に近づけることは可能ですが、基本的には「ハイリスク・ハイリターン」の投資とされています。

私が株式投資と並行して不動産投資を行っている理由はこの性質の違いです。

株式投資のリスクのうち大きなものは元本保証がないことです。 株式評論家だからといって、将来の株価がわかるわけでもありませんし、私も個人投資家の方と同じように株価に一喜一憂することもあります。

一方の不動産投資は、株価が暴落するように、物件の価格が秒単位で変動したり、短期間で大きく下がるということはありません。

家賃も株価のように日々変動することはなく、毎月安定して入居者からの家賃収入が発生しますし、それによって先の収入をある程度把握することができます。

株式投資では、景気動向に業績が左右されにくいと言われているディフェンシブ銘柄であっても、市場全体が大暴落するときには影響を受けます。

株式投資家が、資金の一部は安定したものに振り分けたい、と考えるのでしたら、投資資金をすべて株式に投入してポートフォリオの中でバランスを取るよりも、安定志向の資金は不動産に投資するのがよいだろう、というのが私の考え方です。

不動産投資のメリットとデメリット

不動産投資について一般的にメリットとして言われているのは次のようなものです。

・融資を受けてレバレッジを利かせられる ・不動産投資ローンを組む場合、団体信用生命保険(団信)に加入するので、生命保険や死亡保険として活用できる ・相続対策として将来設計に組み込める

そのほか、私が評価しているのは、インフレのリスクヘッジができることです。

日本国内の物価に関して、急激に大幅な物価上昇は考えにくいですが、それでも少しずつ上昇しています。万が一大幅なインフレになり物価が上昇すると、現金の価値が下がります。

その場合でも、不動産や貴金属のような実物資産(価格換算できるもの)の価値は物価とともに上昇するため、目減りせずに物価変動に強いという特徴があります。

もちろん不動産投資のデメリットもあります。主なものは次のようなものです。

・初期費用が必要 ・金利上昇の可能性 ・(株式と比べて)相対的に流動性が低い ・空室時の収入減、家賃滞納などのリスク ・天災などの可能性

ただ、私の不動産投資では、このメリットとデメリットをそのまま受けてはいません。それはどういうことか説明しましょう。

築古物件を現金で購入する理由

私が取っている手法は 「築古物件を現金で購入する」 ということです。

巷に流れている情報から判断して、不動産投資は融資を受けて物件を買うのが一般的なやり方だ、と思っている方も多いかと思います。

もちろんそれが王道なのですが、私はあえて融資を受けずにキャッシュで築古物件を購入して賃貸に出し、インカムゲインを受け取っています。

先にあげた不動産投資のメリットのうち、「融資を受けてレバレッジを利かせられる」という点がなくなってしまいますが、それはデメリットの「金利上昇の可能性」を同時に打ち消すことにもなります。

また、「団信を生命保険や死亡保険として活用できる」「相続対策として将来設計に組み込める」というメリットは、別に不動産投資を使わなくても別のやり方で対策すればいいと考えています。

デメリットの「相対的に流動性が低い」「空室時の収入減、家賃滞納などのリスク」は物件を厳選して選ぶことでリスクを抑えられますし、「天災などの可能性」については不動産保険によって対応することが可能です。