東京都練馬区(73万8400人)は2023年3月、住民税と国民健康保険料の滞納整理にAIシステムを活用する二つの実証実験を富士通Japanと共同で開始した。滞納者の財産調査業務へのAI活用は全国初。

 住民税と国民健康保険料の滞納整理では、滞納者の所得や資産等の有無を見極めるため、地方税法に基づき各種の財産調査を行っているが、滞納者の過去の調査履歴等多岐にわたる情報を整理して、調査先を的確に絞るにはベテラン職員が持つノウハウの活用が不可欠となる。しかし、職員は3、4年で人事異動することが多く、ベテラン人材の不足が課題となっている。そこで区は富士通Japanに働きかけ、ベテラン職員のノウハウ等をAIに学習させ、最適な調査候補をAIが瞬時に提示するシステムを開発することとなった。本システムの活用により、調査先の選定時間の大幅な短縮など、経験が浅い職員でもベテラン職員と同等の成果が得られることを目指している。

 今後区では、実証実験の結果を踏まえ、住民税と国民健康保険料の収納率と徴収額を向上させ、4億円以上の徴収効果を目指すとともに、住民間の税負担の公平性を高めていくとしている。

(月刊「ガバナンス」2023年7月号・DATA BANK 2023より抜粋)

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