度重なる死球に岡田監督も怒りを示している(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 阪神9月3日ヤクルト戦(神宮)に7-1と勝利、マジックを一つ減らした一方で再び起きたチームをめぐる死球禍に球場が騒然となるシーンがあった。

 7点をリードする9回先頭、打席に入った近本光司に対し、ヤクルト左腕山本大貴が投じた2球目が抜けて、右脇腹付近にボールが直撃すると、近本はそのまま打席で崩れ落ちた。トレーナーが飛び出し、ベンチの岡田彰布監督も心配そうな表情を隠せなかった。

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 近本はそのままベンチに引き上げ途中交代となり、代走・小野寺暖が告げられると神宮球場には怒号が飛び交うなど、一時騒然となった。

 近本は7月2日の巨人戦(東京ドーム)で右脇腹に死球を受け、右肋骨骨折と診断されて出場選手登録を抹消。その後、驚異の回復力で後半戦の開幕に間に合わせ、特に8月は打率・327優勝マジックを点灯させる、快進撃の立役者となっていた。

 仮に再離脱ともなれば、ポストシーズンの行方にも関わってくるだけに状態が心配されている。

 試合後の岡田監督はすでに大差がついた場面での死球に憤りを隠せなかったとされるが、怒りを募らせる理由はそれだけではなさそうだ。

 ヤクルトの与死球数は「58」と12球団トップの数字を記録している。

 チームではすでに8月13日ヤクルト戦(京セラ)でも捕手・梅野隆太郎が相手の中継ぎ右腕、今野龍太から左尺骨に死球を受け骨折。シーズン絶望となる重症となった。

 勝負の世界だから厳しい内角攻めは仕方がない側面はある。ただ、ここまで要所での制球難が続くと、チームを預かる指揮官としても看過できない部分はある。

 ヤクルト高津臣吾監督もこの事態には試合後コメントで阪神球団に謝意を示したが、度重なる死球禍をめぐっては今後の戦いに少なからず影響を及ぼしそうだ。

 この日は佐藤輝明の2戦連発となる17号3ランやドラ1ルーキー森下翔太も9号ソロを放ち圧勝。9月最初の3連戦をスイープで下し、最多貯金の「28」を達成、マジック「15」と明るい話題も多かったが、試合終盤に起こったアクシデントで後味の悪さが残った。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

阪神 近本の死球をめぐって岡田監督がヤクルトに憤慨 指揮官が怒りを募らせる「背景」とは