果敢な走塁で、見事に今季20盗塁を決めた大谷。そのパフォーマンスに賛辞が寄せられた。(C)Getty Images

 またもバットから快音は聞かれなかった。現地9月3日に敵地で行われたアスレチックス戦に大谷翔平は「2番・指名打者」で先発出場。3打数無安打2四球2三振で、今季自己ワーストとなる48打席ノーアーチに。エンゼルスも6-10で敗戦。同じアメリカン・リーグ西地区最下位を相手に3連敗を喫した。

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 もっとも、見せ場がなかったわけではない。5回1死無塁で迎えた第3打席で四球を選び出塁した大谷は、2死となったところで悠々と2盗を成功。これで今シーズンの20盗塁目となり、MLB史上ではケン・グリフィーJr.(1998、99)やアレックス・ロドリゲス(98、99、2005、07)らに並ぶ、史上8人目の「シーズン40本塁打&20盗塁」達成者となった。

 この日も2四球と大谷はアスレチックス側に避けられた感は否めなかった。両軍ともにポストシーズン進出の可能性はゼロであり、言ってしまえば、この試合は“消化試合”。それでも「我々を一人だけで叩きのめせる」(マーク・コッツェイ監督談)と勝負にこだわる敵軍の警戒網はエンゼルスの地元放送局『Bally Sports Wset』の実況が中継中に「うんざりする」とぼやくような状況ではあった。

 それでも何とかチャンスを生み出そうと奔走し、実際に数少ない好機を演出する。大谷のスーパースターたる所以が今季20個目の盗塁には詰まっていた。

 そんな偉才の孤軍奮闘ぶりを指揮官も称賛する。試合後にMLB公式サイトなどの取材に応じたフィル・ネビンは「相手は一つミスを犯しているよ。ショウヘイが故意に歩かされることが多いのは知っているが、歩かされたときに彼が何もしないわけではないからね」とコメント。そして、こう続けている。

「ショウヘイはまだ質の高い打席を見せてくれている。本塁打を打たないからといって、彼が我々に影響を与えていないわけではない。誰もが勝とうとしているんだ。彼らだって毎日そうやってプレーしている。こういう状況でショウヘイを歩かせるからと言って私はコッツェイを責める気はない。私だってそうするだろうからね」

 チームは間違いない苦境にいる。そのなかで意識を高く保ち続ける大谷には脱帽するほかにない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

また本塁打はお預けも“快足”で見せ場 「うんざりする」苦境で輝く大谷翔平に指揮官も脱帽「誰もが勝とうとしている」