学校法人早稲田大学東京都新宿区、理事長:田中愛治)、株式会社日建設計(東京都千代田区、代表取締役社長:大松敦)、戸田建設株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:大谷清介)は、早稲田大学本庄高等学院体育館(埼玉県本庄市、2020 年2月竣工)において、三者共同で一般社団法人日本建設業連合会「第64 回BCS 賞」を受賞しましたのでお知らせいたします。

環境工学の知見が凝集した特徴的な外観

BCS賞は、「優秀な建築物を作り出すためには、デザインだけでなく施工技術も重要であり、建築主、設計者、施工者の三者による理解と協力が必要である」という建築業協会初代理事長竹中藤右衛門の発意により昭和35年1960年)に創設され、毎年、日本国内の優秀な建築作品を表彰しています。2023年度には74件の応募があり、15件が受賞しています。https://www.nikkenren.com/sougou/award.html

早稲田大学本庄高等学院体育館は、「緑豊かな環境にあえて閉鎖系の建築を計画し外観に独特の存在感と印象的な内部空間性を創出している。外周ダブルウォール形式により建築デザインと環境機能の整合性も高い。均質でなく質感のある打放コンクリートとなっていて打放表現に対する執念を感じさせる。」と評価され、このたびの受賞に至りました。

https://www.nikkenren.com/kenchiku/bcs/detail.html?from=top&year=2022&ret=year&ci=1026

早稲田大学WEBサイト

https://www.waseda.jp/top/news/93148

早稲田大学本庄高等学院体育館について】

1982年早稲田大学の2校目の附属校として開校した早稲田大学本庄高等学院は、当初は男子校でしたが、2007年に男女共学に移行したことをきっかけにキャンパス再整備を進めました。この一環として、2020年に竣工した体育館は、先行して大久保山山麓に移転した教室校舎西側に隣接し竣工しました。

幾つもの丸い窓が特徴的な外観を持つ新体育館ですが、実は緻密な計算とデザインによって構成されています。アリーナの外周には、ランニングコースや軒下歩廊など人が巡る空間と、太陽光や空気・音などが通過、遮断する環境動線としての回廊が凝縮して積層しており、照明や音響設備、吸音などの設備を埋め込んでいます。アリーナにとって外部と接続するバッファーでもあり、結果的に、中央の主機能であるアリーナは表舞台としてつくられ、それを支えるために舞台裏がある関係性となっています。生徒にとっての大切な節目を彩る式典の際には、丸孔開口の淡い光とトップライトからの強い光に包まれた象徴的な劇場空間となります。

物事の本質を学び取る場を目指したこの新体育館は、装飾性を排除し、意匠・構造・設備・音響・メンテナンスまでを総合的に融合させたデザインです。環境工学的には、建築物の表面積を小さくすることで、内部空間は外界からの影響が少なくなり環境的負荷を抑えることができます。同じ体積で表面積を最小化するには、凹凸がなくなり、直方体から立方体に近い形へ還元され、最終的にこのような平面計画となっています。質素で清貧な美があり、現代建築でありながらいつの時代にも属する遺跡のような体育館です。

新校舎側からの外観、2階部分で渡り廊下にて連結している
3F ランニングコース
1F 多目的室:剣道、卓球、ダンスなどを行う
1F ミーティングルーム:授業や部活で使用
アリーナ丸穴開口
2F アリーナ 卒業式や学校説明会の会場としても使う
3Fランニングコースから2Fアリーナを望む

早稲田大学副総長 後藤春彦(理工学術院教授)

早稲田大学本庄高等学院は、大久保山遺跡の丘陵に立地しています。遺跡からは、旧石器時代、縄文時代弥生時代、古墳時代と、人びとの生活の営みが脈々と繰り広げられてきた考古資料も出土しています。本庄高等学院体育館は、打ち放しコンクリートキューブにいくつもの孔が穿たれた他に類例を見ない意匠をまとった建築で、この地に太古から存在し続ける遺跡を彷彿させます。

外観からは窺い知ることはできないのですが、このキューブは入れ子状にもう一つのキューブを内包しており、2枚の壁面が構造的にも環境的にも体育館という空間と機能を成立させることに寄与しています。私には、若い生徒たちのエネルギーを育むインキュベーターにも見えます。このたび、早稲田大学本庄高等学院体育館が、栄誉あるBCS賞を受賞したことは望外の喜びであり、関係者の皆様のご尽力に深く感謝いたします。

早稲田大学本庄高等学院長 半田亨

私は、学生時代に建築学科の友人の影響を受け、機会があれば有名建築をめぐるとともに、その作品に潜む設計者の想いに想いを巡らせてきました。そのことは、今でも続いています。同じ人間が数年間日常生活を送らなくてはならない学校という建築物の特性を考えたとき、そこに潜む想いが簡単にわかるようでは、名建築にはならないのではないかと思っています。それは相手のことがなかなか分からない人間同士の関係と似ています。

コンクリートの塊に無数の穴を穿ったこの建築物は、近寄った者・中に入った者に強烈な印象を与えます。ここで3年間を過ごした生徒たちは、その印象を再確認し、いまだ完全に理解しきれない、そこに潜む想いを知るために、「心の故郷」として、またこの建物を訪れるでしょう。名建築とはそのようなものでなくてはなりません。

ここに改めて、建築界で名誉あるBCS賞を受賞したことを嬉しく思うとともに、本庄高等学院長として誇りに思います。設計者をはじめ、関係各位の方々に心より感謝申し上げます。

所在地 埼玉県 本庄市栗崎239-3

敷地面積 63,077平方メートル

建築面積 2,417平方メートル

延床面積 4,465平方メートル

階数 地上3階

構造 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造

建築主 学校法人早稲田大学

総合監理 早稲田大学キャンパス企画部

設計者 株式会社日建設計

施工者 戸田建設株式会社

竣工日 2020年2月10日

【関連リンク】

新体育館が広げる本庄学院教育

https://www.waseda.jp/top/news/68180

2倍の広さで伸び伸びと 本庄高等学院

https://www.waseda.jp/top/news/68567

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