(一社)さがクリエイションは、佐賀県唐津市8月19日(土)、26日(土)の2日間、佐賀県内の小学5・6年生を対象に小川島で獲れるひじきと玄海の海洋環境を学び、体験する「SAGANキッズ離島探検隊~みんなで学ぼう海の変化~」を開催しました。唐津の北側にある離島、小川島は、小型漁船によるイカの一本釣り漁業や海士によるサザエアワビ・ウニ漁などで、豊かな自然と海の幸に恵まれて繁栄してきました。特にひじきに関しては伝統的な製法で加工されており島の誇りといえる海産物です。今回は小川島ひじきの現状や課題を学びました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

  • イベント概要       

・開催概要:小川島の名産である、ひじきを通して玄海について学ぶ体験学習

SAGANキッズ離島探検隊~みんなで学ぼう海の変化~」

・日程:2023年8月19日(土)・26日(土)

・開催場所:佐賀県唐津市 呼子町小川島、肥前町駄竹

・参加人数:佐賀県内の小学生17名(※2日目は1名欠席により16名)

・協力団体:NPO法人 浜-街交流ネット唐津、小川島漁業協同組合、西九州大学、駄竹藻場再生グループ、NPO法人 唐津FARM&FOOD、唐津南高等学校、佐賀新聞文化センター

  • 小川島ひじきと藻場について学ぼう!                        

初日はフェリーに乗って小川島へ上陸。NPO法人 浜-街交流ネット唐津の千々波氏の講義では小川島ひじきと藻場について学びました。ひじきを含めた海藻の仲間が繁茂している場所のことを藻場といいます。藻場は光合成によって海の中の二酸化炭素を吸収して酸素を増やしたり、魚介類のえさ場や住処になったり、窒素やリンなどの栄養塩を吸収して海水をきれいにしたりと、海の機能を維持するためになくてはならない存在です。小川島では春に島民一斉でひじきの収穫を行っています。小川島ひじきは房州式といって収穫した後にまずは大釜で煮るのが特徴で、旨味が出てとても美味しいとのことです。

ただそんな小川島ひじきが最近減っています。地球温暖化による海水温の上昇でガンガゼやアイゴなどの南方系植食性生物が増え、ひじきを食べつくしてしまっているからです。ひじきなどの海藻が食べられて藻場がなくなってしまうことを磯焼けといい、この磯焼けにより海洋環境がどんどん悪くなっています。

小川島漁業協同組合組合長である川添氏にも実情を伺いました。磯焼けが深刻で今年のひじきは収穫期に20~25cmほどしか伸びていなかったため、ひじきを守るために毎年恒例の春の収穫を今年は見送ったとのことです。子どもたちは磯焼けという言葉や現状を初めて聞いたようで、一生懸命学んだことをメモしていました。

西九州大学健康栄養学部の教授である三嶋氏による講義では、食と栄養の面からひじきの特性を学んでいきます。日本人は、縄文・弥生時代からひじきなどの海藻を食べていました。ひじきは健康でいるために大事なビタミンや食物繊維を豊富に含んでおり、現代人が特に不足しがちなカルシウムや鉄などのミネラルを陸上植物の何倍も含んでいます。また、凝固剤や安定剤、乳化剤の役割も兼ね備えており、ひじき自体を食べること以外でも様々な利用がなされています。

その後、西九州大学の大学生とともにひじきを使った料理にチャレンジしました。作った料理は「ひじきの煮物」と「ひじき鬼まんじゅう」。子どもたちは大学生の動きに倣って楽しみながら調理を行いました。出来上がった料理を食べた子どもたちは「おいしい!」と口をそろえて、昼食をとった後にもかかわらずおかわりをする人が後を絶ちませんでした。

地元の伝統や栄養価など、ひじきの魅力を知った子どもたち。この美味しいひじきをこれからも食べ続けるために、いま佐賀の海に起こっている環境問題と藻場の再生活動について学びを深めていきます。

  • 藻場の再生活動を学ぼう!         

2日目は肥前町の駄竹で学習をスタート。この駄竹は、小川島と同様に磯焼けの被害を受けてましたが、地元の漁師の方が再生活動に取り組んでおり、磯焼けが改善してきたエリアです。NPO法人 浜-街交流ネット唐津の千々波氏と駄竹藻場再生グループの井上氏の講義では藻場の具体的な再生活動について学びました。

南方系植食性生物であるガンガゼの駆除活動は、週に2,3回ほど、素潜りをメインにして行っています。地球温暖化による海水温上昇の影響でガンガゼがこれからも玄海にやってくると考えられているため、定期的に駆除しつづけていく必要があり終わりはないと話されました。また、これまでは海の中の海藻が少なかったためガンガゼをある程度は駆除しやすかったのですが、藻場が再生してきたことによりこれからは生い茂る海藻の中からガンガゼを見つけなければならないため、より駆除が難しくなっていくとのことでした。それから駄竹の漁港を訪れてガンガゼの実物を確認しました。個体の大きさや刺の長さが想像以上だったようで、子どもたちは食い入るように見つめていました。

後半は海に出て藻場の再生活動の手伝いを行いました。胞子のついた海藻(母藻)を海に投げ入れることで海藻類の新芽を増やしていくことがねらいです。海流によって他の場所にいかないよう、トウモロコシの粉でできた袋に海藻をつめる工夫もされています。子どもたちは自らの手で海藻を袋に入れ、海の中に投げ入れました。「海が透き通って海藻や魚が見えていた」や「藻場が復活してほしい」など、豊かな海の姿を未来につないでいく意思が語られました。

  • 海洋プラごみについて学ぼう!      

世界的な海の問題になっている海洋プラスチックごみ問題は玄海も例外ではありません。NPO法人 浜-街交流ネット唐津の千々波氏の講義では、2050 年までに海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超過すると予測されていること、玄海は対馬海流や風に乗って国内外のごみが沿岸部に集まっていること、海底や海面にもごみが広がっていることを学びました。その後、駄竹の海岸清掃を子どもたちで行い、ひも・空き缶・ホース・トタン等を拾いました。また、海外の文字が書かれたペットボトルも発見し、子どもたちは海洋プラスチックごみが世界中を移動して流れ着いていることを実感し、ごみを絶対にポイ捨てしないと決意をかためていました。

  • プラスチックの再利用を体験しよう!      

NPO法人 唐津FARM&FOODの小嶋氏の講義では、プラスチック廃棄物の解決策として、プラスチックをリサイクルし新たなものを作って命を吹き込む「プレシャスプラスチック」という取り組みがあること、世界で10万人以上の人がこの取り組みに参加していることを学びました。小嶋氏は、陸上のプラスチックを川や海に出さないようにするためにペットボトルキャップから様々なものを作ったり、海岸で拾ったごみでアートを作って啓発活動をしています。今回はペットボトルキャップを使ったオリジナルコースター作りを行いました。子どもたちはコースターを作る機械に興味津々。好きな色や形を組み合わせて十人十色コースターが出来上がりました。子どもたちはプラスチックごみを海に流さないようにするために、どんなものがあるといいか話し合っていました。

その後、唐津南高校の高校生が日ごろから行っている環境保全活動や世界に向けて発信していることを子どもたちに伝えました。子どもたちは、身近な年齢のお兄さんお姉さんが環境を未来につなぐ取り組みをしていることを聞いて、自分も海のためにできることがあると実感していました。

  • 学んだことを記事にしてみよう!      

2日間のまとめとして記事制作を行いました。佐賀市のフリーペーパー「MOTEMOTEさが」の編集長を務められている杉原氏による講義では、記事制作のコツとして「自分が伝えたいことを強く意識する」ことが重要だと学びました。子どもたちはチームをそれぞれ組んで、2日間の出来事で強く印象に残ったことを話し合い、知ってほしい現状や自分なりの解決策等を文章にして落とし込んでいました。子どもたちが制作した記事は「MOTEMOTEさが」でお披露目する予定です。

  • 参加した子どもの声            

体験学習に参加した子どもたちからは、「ひじき料理を作ったり母藻を投げたり、普段できない体験ができた。」「藻場を大切することが海を大切にすることに繋がるとわかった。」「磯焼け対策はたくさん大変なことをしないと藻場が再生しないと学んだ。」「ひじきが減っていること知り磯焼け対策を次の世代に繋げていきたいと思った。」「藻場の減少について周りの人に伝えたい。」「海洋プラスチックごみを減らすためにごみ拾いやボランティアに参加したい。」などの感想があり、ひじきの減少による海の変化を通してこれからの玄海をはじめとする海との向き合い方、将来を考えるきっかけとなりました。

<団体概要>

団体名称:(一社)さがクリエイション

URL:https://saga.uminohi.jp

活動内容  :佐賀県内の海関連の情報発信・イベントの開催など

日本財団「海と日本プロジェクト」

さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。

https://uminohi.jp/

配信元企業:海と日本プロジェクト広報事務局

企業プレスリリース詳細へ

PR TIMESトップへ