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(写真:産経新聞社

9月1日で発生からちょうど100年が経った関東大震災。その当時起きた朝鮮人虐殺を巡り、政府の松野博一官房長官が「記録がない」と発言したことが波紋を呼ぶ中、ヒップポップグループ「ライムスター」の宇多丸(54)が真っ向から疑問を呈した。

8月30日の記者会見で、松野官房長官は記者から「政府として朝鮮人虐殺をどう受け止め、どのように反省しているのか」と質問されると、「お尋ねについては、政府として調査した限り、政府内において事実関係を把握することのできる記録が見当たらないところであります」と発言。

さらに31日の記者会見で別の記者から、防衛省に保管されている公文書の存在や、内閣府ホームページにある虐殺を認める記述などを根拠に、発言の意図と虐殺の存在に対する政府見解を追求された際も、「(報告書は)有識者が執筆したものであり、政府の見解を示したものではない」とし、改めて「政府内に事実関係を確認することのできる記録が見当たらない」と前日の見解を維持した。

この発言に1日のラジオ番組『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)で反応したのが、宇多丸だ。宇多丸は毎年同番組の9月1日放送回では、朝鮮人虐殺について触れており、ネット上でたびたび浮上する「朝鮮人虐殺はなかった」という言説に対して、警鐘を鳴らしてきた。

そして今年も番組のオープニングトークで「毎年私は9月1日はもちろん、その災害に備える、地震に備えるみたいなことももちろん大事です」とし、朝鮮人虐殺の話へ。内閣府が出している朝鮮人虐殺に関する資料の内容などに触れ、松野官房長官の発言を紹介した上でこう続けた。

「気味悪いし、通常の人権を重んじる国家で、明らかに歴史的に認定されている、後から後から資料が出てきて、教科書にも書いてあるようなことですよ、そういう虐殺を『資料ないんでよくわかりません』みたいなこと言ったら、一発アウトだと思うんですよね」

さらに、墨田区で毎年行われる朝鮮人虐殺の犠牲者追悼式典には歴代都知事が追悼文を送ってきた。しかし、小池百合子都知事は就任翌年の2017年から送付せず、今年も送らなかったことについても言及。

「もちろん都知事の小池さんだって『諸説あるんで』と。諸説なんて無いです。歴史的に確定した事実です。なかった説は非常に杜撰な説を振り回した虚言でございます。まさしくデマです。 恥ずべき、というか驚くべき政治の倫理の低下と言いましょうか。人権軽視甚だしいというか、どの口がロシアの侵攻とかを非難できるんですかね。

とにかく、私が言えることは、みなさん、こういうこと言う政府ですよ。これ政府見解ですよね、官房長官が言ってるんだから。こういうことを言う政府であり、都知事なんですよ。来年都知事選挙あったりしますけど、みなさん本当によく考えて下さいね。ほかの色んな政策あってもいいですよ。いろんな考えはあっていいけども、めっちゃ人権軽視してます、人命を」

そして、最後は「しかも、これから色んなこと、災害が起ころうかという東京で、反省し、学び。要するに、で、こういうこと言うと『日本人の悪いことばっか言って』と。違いますよ。二度と日本人が変なことしないように、我々が殺人者にならない、虐殺者にならないように、より良き日本として世界に確固たる地位をキープできるように、こそ必要な心構え」とした上で、「こんなことは許されてはいけない」と語っていた。