購入した物件をほったらかして毎月50万円の利益を得ている株式評論家の坂本慎太郎氏が考えた不動産投資の方法は、不動産投資家が「ずるい!」と思うやり方なのだとか。今回はそんな投資法について、坂本氏の著書『ずるい不動産投資 手間暇かけずに毎月50万円の家賃が入ってくる築古区分マンション投資入門』(東洋経済新報社)から、一部抜粋してご紹介します。

投資なので儲かる物件を選ぶ

区分所有マンションの中でも、私は 「地方の築古物件」 に絞って投資しています。

日本人は新しいもの好きと言われていますが、現在、不動産投資を目的として新築マンションを購入した場合は、月に何万円か赤字が出てしまう物件が多いというのが、物件を日々観察している私の印象です。

新築物件を投資対象から除外したとすると、必然的に中古物件を選ぶことになりますが、そこで気になるのが築年数です。

一般的に、建てられてから5~10年以内の新しめの物件が「築浅」と呼ばれるのに対し、築20年を過ぎているものは「築古」と呼ばれています。

築浅物件のほうが見栄えもいいですし、入居者も新しいほうがいいのではないか、と思われるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。

きちんとポイントを押さえれば、築古物件のほうが安定して利益を手にすることができると私は考えています。

築古物件の中でも、私は築30年前後のものを中心に投資しています。

新築や築浅の物件を所有することが目的で、それで満足するならいいのかもしれませんが、不動産投資は、あくまで投資なので、利益が出なければ意味がありません。

築浅と築古のメリットとデメリットを比較して、私が築古物件を推す理由を説明したいと思います。

築浅物件のメリットとデメリット

築浅物件のメリットとして、建物自体が新しいことから家賃を高く設定しても入居希望者が多いので客付けに苦労せず、空室リスクが低いということがあります。また、金融機関からの長期融資を受けやすいのもメリットかと思います。

その反面、築浅物件のデメリットとしては、やはり物件価格が高いことです。

物件の仕入れコストが高ければ相対的に利回りも低くなるので、都心の物件では表面利回りが5%を切るものもあります。利回りが5%を切ってしまうのならば、それこそREITを買ったほうが稼ぐことができます。

つまり築浅物件の特徴として、空室リスクは低いが物件価格が高く利回りが取りにくい、ということがあげられます。

築古物件のメリットとデメリット

築古物件のメリットを見てみましょう。築浅物件とは反対に、物件価格が低いのがメリットです。

そもそも私は多額の融資を受けて購入する不動産をポートフォリオに入れることに抵抗があり、自分に合った不動産投資は何か、と試行錯誤の末に築古物件投資にたどり着いたという経緯があります。

築古物件を余裕資金で購入した場合は、融資を受けていないので金利などの影響を受けることなく、不測の事態があったときでも物件を購入時の価格より安くなってもかまわないので売却すればいい、つまり損切りという逃げ方があるので、比較的リスクが低い手法だと私は思っています。

もちろん、デメリットもあります。その最たるものは物件が古いことにほかなりません。築30年を超えているので、建物の至るところに老朽化が見られます。

なので、築古物件を投資対象として選ぶ際に1つの基準となるのが、現在も採用されている新耐震基準です。 これは1981年6月から施行されているので、2023年現在で築40年以内の建物であれば新耐震基準が適用されているかと思います。

新耐震か旧耐震か判断がつかない場合、「竣工日」などではなく、「建築確認日」が1981年5月以前かどうかを確認してください。 これが1981年6月以降でしたら新耐震基準なので、まずは安心かと思います。

築古物件の価格は下がりにくい

築古物件の価格に関してデータを紹介しましょう。東日本不動産流通機構が毎年発表している「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」というレポートによると、築30年を過ぎたあたりで物件価格が下げ止まるというデータがあります。

中古マンションの成約状況と新規登録状況の2つでそれぞれ平均価格が算出されているのですが、築26〜30年がそれぞれ1884万円と2107万円であるのに対し、築31年を過ぎたものは1904万円と2275万円と、築30年までを境にして下げ止まるどころか少し上向いています。

つまり、先ほど何かあったときでも物件を損切りすればいいと言いましたが、築30年を過ぎると物件価格がそもそも下げ止まっているので、何かあっても購入価格よりもそれほど安くない金額で売却できる、という安心感があります。

また、物件価格が安いということは、利回りが高い物件が多いということでもあります。築古物件だと表面利回りが10%を超えているものがあります。