帝国海軍時代から「北の守り」の要です。

大湊基地は水深が浅く、大型艦の入港に課題

防衛省は2023年8月31日(木)、2024年度予算の概算要求を発表。その中で、「海上自衛隊地方隊の改編」として、青森県の大湊地方隊を横須賀地方隊に統合する方針を示しました。また、基地がある芦崎湾に大型護衛艦を係留させるための浚渫工事、桟橋改修の費用も計上しています。

大湊地方隊は、宗谷海峡や津軽海峡といった青森県以北の防衛・警備などを担当しています。基地の歴史は古く、1902年(明治35年)に日本海軍の「大湊水雷団」が創設されて以降、軍港として発展してきました。敷地内には、旧海軍の遺産を引き継ぐ形で、海上自衛隊で唯一の自前ドックとなる「1万トンドック」が併設されていることが特徴です。

大湊基地には、第7護衛隊に所属する護衛艦「ゆうだち」「まきなみ」「すずなみ」「しらぬい」、第15護衛隊に所属する「はまぎり」「おおよど」「ちくま」の計7隻が配備されています。汎用護衛艦(DD)や小型の近海警備用護衛艦(DE)が中心で、大型のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)、ミサイル護衛艦DDG)などは配備されていません。

芦崎湾は水深が浅く、長らく主力艦艇の多くが入港できませんでしたが、2010年度に約4500トン級の艦艇を桟橋に接岸可能にする浚渫工事が完了しました。ただ、より大型の艦艇の接岸には課題があるといいます。そのため、地元のむつ市では、湾内の浚渫工事や大型艦艇の配備を要望しています。

2024年度の概算要求で防衛省は、大湊地方隊を横須賀地方隊に統合するものの、後方支援全般を担う部隊を新編し、大湊地区全般の定員規模は維持するとしています。大湊地方隊が廃止されても、基地自体は強化されることが見込まれます。

大湊基地に配備されている護衛艦「しらぬい」(手前)(画像:写真AC)。