セビージャに復帰するDFセルヒオ・ラモスの年俸は、今夏の移籍市場で自身に提示された最高額の20分の1のようだ。4日、スペイン紙『ABC』が報じている。

 1986年3月30日生まれのS・ラモスは現在37歳。スペイン南部の都市カマスで産声をあげ、“カマスファラオ”と称される程のセンターバックとなった同選手の始まりはセビージャだ。8歳の頃に下部組織に入団すると、2004年2月に17歳でトップチームデビュー。しかし翌シーズンに公式戦41試合出場と頭角を現したことで、シーズン終了後に10代のスペイン人選手最高額となる移籍金2700万ユーロ(現在レートで約42億円)でレアル・マドリードへと移籍した。その後はレアル・マドリードスペイン代表で不動の地位を築き、ラ・リーガチャンピオンズリーグワールドカップEUROなどのタイトルを総なめ。2021年夏からはパリ・サンジェルマンPSG)に在籍し、ここでも2度のリーグ・アン優勝を経験している。

 そんなS・ラモスは、今夏に契約満了によりPSGを退団すると、新天地として、そしてプロキャリアの終着点としてセビージャ加入を熱望していた。クラブ側は当初、レアル・マドリード移籍により一部サポーターから“裏切り者”のレッテルを貼られている同選手獲得を否定していたが、ホセ・ルイス・メンディリバル監督がディフェンラインの核となる選手を要求したことで交渉を開始。最終的に年俸100万ユーロ(約1億5800万円)程の条件で合意に至り、古巣復帰という本懐を果たした。

 一方で『ABC』によると、セビージャで受け取る年俸は、加入間近だったアル・イテハドから提示された金額の20分の1のようだ。今夏の移籍移籍市場でFWカリム・ベンゼマらを獲得したアル・イテハドは年俸2000万ユーロ(約32億円)のオファーを、またガラタサライは年俸1000万ユーロ(約16億円)のオファーを打診していたという。それでも、S・ラモスは「故郷に戻ることは、この上ない幸せだ。ここに帰らなければ、どこに行っても意味がない。祖父、父、セビジスモ、そして(アントニオ・)プエルタに対する負い目があった」と移籍理由を告白している。

 昨今の移籍市場ではアラビアンマネーに惹きつけられた選手たちが出稼ぎに赴くなかで、S・ラモスは亡き友と亡き友が愛したクラブに対する“恩返し”を望んで18年ぶりにセビリアに帰ってきた。

セビージャ復帰を果たしたDFセルヒオ・ラモス [写真]=Getty Images