プロ野球史上唯一となる400勝投手の金田正一氏と、2リーグ制初の三冠王にして名将の野村克也氏。長嶋茂雄氏、王貞治氏とともにプロ野球創成期を支えた両名には、一般人にはなかなか理解できない、旧交をあたためる手段があった。

 テレビプロデューサー、演出家など多彩な顔を持つ佐久間宣行氏のYouTubeチャンネル〈佐久間宣行のNOBROCK TV〉に、爆笑問題太田光田中裕二)が出演。2012年から2017年までMCを務めたスポーツニュース番組「S☆1」(TBS系)について、田中が「カネやんとノムさんの対談が番組であった」として振り返っている。その様子を再現すると…。

「お~、ノム、来たで~」

 意気揚々と登場した金田氏を野村氏が「どうもどうも」と慇懃に迎える。すると金田氏は「元気だったか」と言うや否や、野村氏の頬をビンタし、野村氏がすかさずやり返す。2人は当時、ともに80代である。

「カネやんはノムさんと会うたび、嬉しそうに頬を一発叩き、今度はノムさんがカネやん以上に強いビンタを返す、というのが恒例でした」(球界関係者)

 ビンタといえば、アントニオ猪木氏の「闘魂注入ビンタ」があった。1990年5月、早稲田予備校での講演会に猪木氏が出演。とある生徒から「腹を殴らせてください」と要求されて快諾したところ、思いのほか強烈な一撃だったのか、猪木氏がとっさに生徒の頬を右手で張った。「ありがとうございました」と気持ち良く一礼したその生徒が合格したことから「縁起が良い」と話題になったのは有名な話だ。その「闘魂注入ビンタ」は幾多の有名人も受けており、野村氏の夫人・沙知代さんもそのひとりだ。

 2019年、先に旅立った金田氏が、2020年に野村氏を迎え入れた際、「ビンタの応酬」があったかどうか…。

(所ひで/ユーチューブライター)

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