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 ユネスコ世界遺産にも登録されている「万里の長城」は、紀元前より建設が始まり、約2千年の歳月をかけて作られた世界最大の城壁である。

 現存するものの大部分は、明王朝時代に建造されたもので、総延長は約6千kmに及ぶ。

 だが、日々の暮らしに追われる人にとってはただの障壁でしかなかったのかもしれない。

 近くの工事現場に行くための近道を作るため、2人の建築作業員がこの壁に掘削機で穴を開けたとして警察に逮捕された。

 すでに壊された壁の一部は、取り返しのつかないほどの損傷を受けたという。

 

【画像】 作業現場への近道を作るため万里の長城に掘削機で穴

Great Wall of China severely, irreparably damaged by men using excavator to 'create a shortcut'

 中国、山西省中部で、歴史的建造物である「万里の長城」に掘削機で穴を開けたとして、2人の建設作業員が逮捕された。

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 作業員らは、近くにある作業現場に行く近道を探しており、掘削機が壁の間を通り抜けられるよう大きな隙間を作るために掘り進めていたという。

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取り返しのつかないほどの損傷

 壊された場所は、1368~1644年の明王朝時代に建造された、山西省朔州市右玉県にある万里の長城の一部「三十二長城」だ。

 万里の長城で保存状態の良い部分は、明王朝時代につくられたものだが、その30%以上がすでに消失しており、完全に保存されているのはわずか8%だという。

 その8%の部分に巨大な穴があけられてしまったのだ。

 貴重な歴史的文化遺産が大きな損傷を受けたことで、この事件は世界中で報じられた。

 当局は声明で、「明王朝時代の万里の長城の完全性と文化遺産の安全性に「回復不可能な損害」が生じた」と発表した。

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建設作業員2人を逮捕

 2023年8月24日万里の長城に穴が掘られているとの通報をうけた警察が周辺を調べ回ったところ、この近くの作業現場で働く建設作業員の犯行であることが確認された。

 38歳の男性と55歳の女性が拘束されたが、警察は他にも関係者がいるとみて捜査を続けている。

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 万里の長城は北部の中国を横断する巨大な防壁だが、その状態は場所によって大きく異なる。

 最も古い部分は何千年も前のもので現在は土塁として残っている。この壁の劣化の多くは、地元の農民が家や動物の囲いを作るためにレンガや石を盗むことに起因している。

 しかし、最近では政府が万里の長城の保存に力を入れており、この事件のような破壊行為は厳しく取り締まられている。

References:Two busted for damaging Great Wall of China with excavator / China's Great Wall damaged by workers looking for shortcut - BBC News / written by konohazuku / edited by / parumo

 
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