1951年の誕生以来、「どこへでも往来でき、生きて帰って来られる」というコンセプトを守り続ける「ランドクルーザー」(以下ランクル)。今回そのランクルのより悪路走破性に重点を置いたヘビーデューティモデル、「プラド」の後継車となり「250」と名称を変えたモデルを紹介する。

70年以上の歴史を持つ名門ブランド

 ランクルの歴史は1951年に始まった。当時の警察予備隊(現自衛隊)向けに計画され『トヨタBJ型』がそのルーツとなる。BJ型は小型トラックのシャーシを採用し、大排気量エンジンを搭載。しかし警察予備隊への制式採用が見送られたことで、民生用に方針転換した。そして一般向けのボディを持つモデルのネーミングが現在にも続くランドクルーザーになる。その転換期は1960年の「40」シリーズ。1967年に業務用主体だった「40」シリーズの派生モデルとして快適性を向上させたワゴン(当時はバン扱い)の「55」シリーズが誕生。この「55」シリーズは現在も続く豪華快適装備を持つ300系につながる。

 「40」シリーズは1984年にフルモデルチェンジし、「70」シリーズのバンへ。翌1985年には70シリーズの実用快適性を高めたワゴンモデルがデビュー。このワゴンモデルは1990年にはそれまで3ドア車のみだった「70」シリーズのバンとワゴン車に5ドアモデルが追加、そのワゴンモデルには「プラド」のサブネームが与えられた。こうして「70」シリーズの本格オフローダーのヘビーデューティ系、ブランドイメージを担うフラッグシップの「300系」、その中間(ライトデューティ)に位置する「プラド」が誕生した。



「プラド」から「250」へ

 今回発表されたのはランドクルーザー「250」シリーズ。プラドの実質的後継モデルとなる。中間に位置するライトデューティー系モデル、プラドは世代の進化を追うごとに高級・豪華傾向。今回、開発陣は「The Land Cruiser : 質実剛健を追求し、お客様の生活と実用を支え、お客様に信頼されるクルマ」という原点回帰をコンセプトにし、クルマを作りあげたという。

 なおこの方針を決定付けたのは「250」シリーズの最終責任者である豊田章男社長(当時)の「ランクルは人々の生活、地域社会を支えるためのクルマであるべきで、より多くの人の生活を支えるライトデューティーモデルはお客様が求める本来の姿に戻す必要がある」という考えがあったとされ、「人の命や暮らしを支える」というランクルの使命を受け継ぎ、DNAでもある信頼性・耐久性・悪路走破性を追求したモデルが「250」シリーズということとなる。

ランクルに相応しいメカニズム

 「250」シリーズの骨格となるプラットフォームには、フラッグシップモデル、「ランドクルーザー300」のフルフレームである「GA-Fプラットフォーム」を使用。これにより従来型比でフレーム剛性は50%、車体全体の剛性比は30%アップを実現している。

 搭載されるパワーユニット204PS、500Nmのスペックを持つ2.8リッター直ディーゼルターボ163PS、246Nmスペックの2.7リッター直4ガソリンエンジンが予定されている。組み合わされるミッションはディーゼルエンジンが8AT、ガソリンエンジンは6AT。北米など海外の一部地域には2.4リッターガソリンターボとモーターを組み合わせたランクルとしては初のハイブリッドモデルも用意されているといい、こちらはもしかすると折を見て日本市場に導入されるのかもしれないが今のところ、日本へはディーゼルターボとガソリンの2種のみ。

 

「70」シリーズの国内再販も発表!

 ランクルとしてはもっともヘビーデューティなベクトルを持つ「70」シリーズ。同シリーズは1984年に登場、2004年に日本での販売が終了した。2014年の30周年を記念し、台数限定で販売されたものの、日本では新車の販売が行われていない。しかし運転支援システムや環境性能がアップデートされ発売されるという。「250」シリーズは2024年前半、「70」シリーズは2023年冬の販売予定。「250」シリーズ、「70」シリーズとも価格未定。ランクルファンは今後の動向に要注目だ。

◎参考情報
トヨタ
https://toyota.jp/

まさに陸の王者「ランドクルーザー」の歴史と圧倒的実力