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尊敬する競争相手はBYD 世代間の重複は?

フォルクスワーゲンは、新型車の開発期間を現在の54か月から36か月に短縮しようとしている。中国自動車メーカーの開発ペースに追いつくためだ。

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9月2日ドイツミュンヘンで開幕した国際モーターショー「IAAモビリティ2023」において、フォルクスワーゲンの技術責任者であるカイ・グルニッツ氏は、今後3つのパイロットモデルを36か月で開発すると述べた。そのうちの1つが次期ID.2だという。ID.2のデザインスケッチは昨年12月に完成しており、2025年末までの市販化を目指している。

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フォルクスワーゲンID.2allコンセプト    フォルクスワーゲン

開発期間の短縮についてグルニッツ氏は、「中国の競争相手を見ていると、それが可能であることがわかります。フォルクスワーゲンは、これを実現するための具体的なアイデアを持っています」と述べている。

開発期間の短縮に伴い、新しいシミュレーションツールと開発作業の検証方法を構築する必要があるという。さらに、シミュレーション作業における複数のオンロード検証を廃止し、テストサイクルの回数を減らし、寒冷地でのテストを冬季2~3シーズンのから1シーズンに減らすことで、開発サイクルを短縮できるとしている。

開発サイクルの短縮は「リスク」をもたらすとグルニッツ氏は言う。「そのリスクとは、開発プロセスを開始した時点で最終的にどこに行き着くかわからないということです。ドイツ、特にフォルクスワーゲンでは、何を求めるかについて明確な線引きがあり、リスクを抱えたまま開発プロセスに入りたくはないのです」

「しかし、どんな企業にもリスクはあります。中国の競合他社は機敏です。何か問題が起きれば、彼らは解決策を見つける。ドイツでもそうしなければなりません。新しいアプローチです。しかし、可能性は本当にあるのです」

グルニッツ氏は、短期間で室の高いクルマを作る上で、自身が最も尊敬する中国の競争相手としてBYDを挙げた。「彼らはしっかりしたプラットフォーム戦略と、低コストで、実に優れたバッテリーを持ち、世界中に良い拠点を築いています」

フォルクスワーゲンはまた、「すべてを自社で開発したい」のではなく、サプライヤーとより密接に協力し、彼らの技術やアイデアを自社のモデルに統合していくという。グルニッツ氏は「今、わたし達はサプライヤーからのアイデアでインターフェイスを開発しています」と述べた。

一方で、開発期間が54か月と長かった第8世代ゴルフとID.3において、内装やインターフェイスの問題がよく指摘されているが、開発期間の短縮はクルマの品質を保つ上でさらなるリスクがあることも承知の上である。

「それこそが挑戦です。ゴルフ8やID.3でご覧いただいたような、何千台もの不具合を抱えたクルマをお客様にお届けすることはありません。問題は、いかにしてテストサイクルを短縮し、品質を維持するかということです」

フォルクスワーゲンはまた、新型車の開発をゼロから始めるのではなく、世代間でモデルの70~80%程度を継承し、「20%を変更することで新しい機能を備えた新しいクルマに仕上げる」ことも視野に入れている。「それが成功の鍵です。まだやり遂げてはいませんが、何をすべきかは分かっています」


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