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「抽象画家としての才能を感じる」旧友たちの賞賛を受け、笑顔がはじける蛭子さん(撮影:加治屋誠)

「いや~、すごい絵ですね。えっ? これオレが描いたんですか?」

自分の作品が並んだ展覧会場に入るなり、漫画家でタレントの蛭子能収(75)はこう語った。

20年7月に認知症を公表した蛭子さんが描き下ろした新作19点を展示する「根本敬 presents 蛭子能収『最後の展覧会』展」が、9月7日、東京・南青山にある「Akio Nagasawa Gallery Aoyama」で始まる(9月30日まで)。

開催前日の6日には、旧知の漫画家仲間や編集者を集めたレセプションパーティーが行われた。

展覧会には、これまでの漫画家・蛭子能収のタッチとは異なる作品が並ぶ。

パーティーには、漫画家・蛭子さんに憧れた漫画家や、その才能に惚れ込んだ編集者が集まり、蛭子さんの周りをとり囲んだ。

「僕のこと覚えていますか?」
「すみません、オレは、ちょっと忘れちゃって……」
「そっか、でも元気でよかった」

名前は忘れたかもしれないが、たくさんの友だちに声をかけられ、うれしくなったのだろう。蛭子さんの笑顔がはじける。

認知症を公表後、テレビの仕事は減り、蛭子さんと旧知の仲の有吉弘行の番組など、わずかな出演を除いて限りなくゼロに近くなった。そんな中で、40年来の旧友である特殊漫画家の根本敬さん(65)をはじめ、蛭子さんの担当編集者たちが集まり、企画・実現した今回の展覧会。

「独特な色遣いが蛭子さんらしい」
「大胆に黒を使っているのが印象的」
「意味深なタイトルが気になってしまう」

など、さまざまな感想が飛び交った、見る人の心を揺さぶる作品群。あなたも蛭子さんの新境地、“芸術家蛭子能収”の世界に触れてみてはいかがだろうか。

(取材:山内太)