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ガソリンの値上げが止まらない。

経済産業省は6日、レギュラーガソリン1ℓあたりの全国平均価格が186.7円になったと発表。前週から0.9円上がり、15年ぶりの最高値を2週連続で更新している。

岸田文雄首相(66)は新たな補助金を拡充すると決定。7日から拡充が始まったが大きな改善は見込めそうにない。見通しとしては、9月末の価格は180円に。10月末には175円程度まで下がるというが、昨年9月は156,3円だったことを考えると、まだまだ高値だ。かりに補助金がなくなると200円を超える可能性もあるという。

「円安の影響もあるし、原油価格も高騰しているのだから仕方ないのでは……」という意見もある一方で、「ガソリン税そのものの仕組みがおかしい」として、是正を求める声も大きくなっている。

ガソリン税の問題点を、辻元税理士事務所の所長・辻元英さんが、こう解説する。

「じつは、ガソリンの本体価格は、店頭販売価格の約6割程度。つまり186円/ℓとすれば、本体価格はわずか112円程度なんです。では、残りの4割にあたる74円は何かというと、すべて税金。しかも、ガソリン税という税金に消費税を課しているという、本来あってはならない“二重課税”になっています」

もう一つ問題が。

ガソリン税には2種類あって、ひとつは“本則税率”(28.7円)と呼ばれる税。もうひとつは、道路財源不足を理由に道路特定財源として1974年から臨時で上乗せされた“暫定税率”(25.1円)と呼ばれる税があります。

しかし、いつまでも道路のために税金を徴収するわけにいきませんので、税制の見直しによって“暫定税率”は2009年4月に廃止されたのです。

にもかかわらず、すぐに根拠不明確な同額分の特例税率が創設され、25.1円分の暫定税率分は一般財源に充てられて、現在に至るまで徴収され続けています。つまり、法的根拠を失った課税が、本来の目的外に使用され続けているということなんです」

2010年にレギュラーガソリンの全国平均価格が3カ月連続で160円/ℓを超えた場合、25.1円の暫定税率の課税を停止する“トリガー条項”が定められた。

「しかし、このトリガー条項も、2011年に起こった東日本大震災で復興財源が必要ということになり、震災特例法という法律で凍結する措置が取られたまま現在に至っています」

本来なら、ガソリン価格が高騰している非常事態の今こそ、震災特例法を改正してトリガー条項を発動すべきだ。

「つい最近も、日本自動車連盟(JAF)が、ガソリン税の“暫定税率”廃止などを政府に求める声明を発表しています。しかし、政府はそれをしようとせず、石油会社に補助金を出すという非効率な方法をとっています。トリガー条項を発動すれば、もっともコストをかけずに国民に還元できるのに……」

なぜ、政府はトリガー条項を発動しないのかーー。

「政治家や官僚にとってみれば、税金は、とりやすいところからしぼりとればいいと思っているのでしょう。石油会社に補助金を付けて恩を売っておけば、睨みもきかせておけますから」

多くの庶民が困窮している今こそ、こんなおかしな税制を見直すべきだ。