夏の暑さが収まる「処暑」を経て、季節は秋の気配が漂う「白露」を迎えます。露は一年を通して起こる現象ですが、空気が冷えてくる夏の終わりから秋に多くなります。秋の季語であり、すぐに消えてしまう儚さの象徴でもある露。今回は露の現象と「七十二候」、秋が深まる時期の「二十四節気」についてご紹介します。


ひとときの輝き。季節の変化を知る現象「露」

「白露(はくろ)」は、朝方に草花や木などに結んだ水滴が、光に照らされて白く輝く様子をあらわしています。日中の暑さも和らぎ、秋の気配が感じられる頃です。

空気が冷やされて水滴ができる温度を露点と呼びます。日中暖められた空気が夜間の気温低下で放射冷却がおこり、気温が露点以下になったとき、空気中の水分が水滴へと変化します。

草花や木に降りた朝露に出会う白露の頃。太陽が高く昇る頃には光の滴は消えてしまいます。秋のさわやかな空気と、露のひとときの輝きを楽しみたいですね。


白露や茨の刺にひとつづつ/与謝蕪村


七十二侯に見る「白露」の季節感を味わう

二十四節気を約5日ごとの3つの期間(初候・次候・末候)に分けた「七十二侯(しちじゅうにこう)」は、より細やかな自然の変化や動植物の様子を伝えてくれます。白露の間の移り変わりを辿ってみましょう。


【白露の期間の七十二候
◆初候(9月8日9月12日頃)
「草露白(くさのつゆしろし)」
草花に降りた朝露が白く光って見える頃。夏から秋への移り変わりの時期です。

◆次侯(9月13日9月17日頃)
「鶺鴒鳴(せきれいなく)」
セキレイが鳴き始める頃。水辺を好む小鳥ですが、住宅街でもさえずりが聞かれます。

◆末侯(9月18日9月22日頃)
「玄鳥去(つばめさる)」
春先に日本に飛来したツバメが、子育てを終え、暖かい南の地へ帰っていく頃。

※日付は2023年の場合


「露」から「霜」へ。秋分を経て、秋から冬へ

季節を知る目安として設けられた「二十四節気(にじゅうしせっき)」は、天球上の太陽の通り道(黄道)を15度ずつ24等分して決められています。その角度は「太陽黄経」と呼ばれ、春分点の0度を起点に春夏秋冬の四季が巡ります。

天文学上の「白露」は、太陽黄経が165度になる時。ようやく秋らしい気配が加わる頃です。白露の次に巡るのは、太陽黄経180度となる「秋分」。今年は9月23日になります。秋分は春分と同様に太陽が真東から昇り真西に沈み、昼と夜の長さが同じになる日。秋分の日を中心とした一週間が秋のお彼岸で、秋が深まっていく時期です。

10月8日には「寒露(かんろ)」(太陽黄経195度)を迎え、夜が長くなり冷たい露が降りる頃。空気が澄みわたり、秋晴れの季節を迎えます。続いて、10月24日は「霜降(そうこう)」(太陽黄経210度)となり、露が霜に変わって、冬の足音が聞こえてくる頃。朝晩の冷え込みがさらに増し、寒い地域では霜が降りはじめます。

秋分を迎える頃には日に日に夜の時間が長くなり、秋が深まっていきます。白露の今は、秋の気配を感じながら自然現象やいきものの変化を感じてみてはいかがでしょうか。


・参考サイト
国立天文台「暦Wiki 七十二候」

9月8日は二十四節気の「白露」。大気が冷えて、草花に朝露が見られる頃