長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『~突然出てきて笑わせろ!~お笑いゲリラミッション』(次回9月14日木曜夜24:31-、TBS)をチョイス

人生を動かすには、外に出なきゃ始まらない「二軒目どうする?~ツマミのハナシ~」/テレビお久しぶり#65

■芸能人よ、俺の母校に来てくれ「~突然出てきて笑わせろ!~お笑いゲリラミッション」

高校生の前にいきなり登場して笑わせろ、という、ザコシがいなきゃ始まらないような企画に、しっかりザコシがいてくれる嬉しさ。『~突然出てきて笑わせろ!~お笑いゲリラミッション』(9/7放送回)は、ハリウッドザコシショウモグライダー、コロコロチキチキペッパーズの3組が、とある高校に潜入し、いきなり生徒の前に現れてネタを披露、生徒たちの笑いの量・大きさ・時間などをAIが測定し、王者を決めるという番組。スタジオではコットン渋谷凪咲、おいでやす小田が彼らの勇姿を見守る。

ザコシは勿論、かなり特殊なシチュエーションに戸惑いながらのモグライダー・コロチキの漫才も面白く、番組としては十分に満足のいく内容。今の高校生が、モグライダーのことをほとんど知らないというのは驚きだった。コロチキザコシは登場した途端にワーッと歓声が上がるのだが、モグライダーは文字通りのシーン…という凪。まさに”ゲリラで笑わせる”というミッションがしっかりと課せられてしまった状態で、ふたりも戸惑っている様子ではあったものの、それでも笑いを取るのだからさすがの貫禄である。

そして、ちょっと番組本編からは話が逸れるけども、3組の芸人が潜入する千葉県の茂原北稜高校という学校。あまりに聞き覚えがあり、どうして九州生まれの自分が千葉県の高校に聞き覚えがあるのか、と考えてみると、そういや、先週の金曜日、9/2にいわきビジネスホテルで見たフジテレビ『新しいカギ』の『学校の先生と漫才グランプリ』(これも面白かった)という企画で、せいや・粗品・ハナコ岡部が教員と組んで漫才を披露していたあの学校じゃないの!と驚いた。この世には星の数ほど学校があるのに、同じ週に同じ学校を2度もテレビで見るなんて事があるのか、もしかして、アラン・スミシーみたいな、業界内で共通して使われる架空の学校名だったりするのでは…なんて考えたりもしたが、調べてみるとしっかり存在していた。『お笑いゲリラミッション』と『新しいカギ』は局も違うし、一体どうしてなんだろう…と考えたところで分かるはずもないけども、とにかく在籍中の生徒たちはたまらないだろう。同じ週に2度も、自分の通う学校がテレビに出るのだ。ミーハーな私にとってはそれが本当に羨ましい。まず芸能人が学校に来る時点で相当羨ましい。先生たちも羨ましい。何より芸能人が羨ましい。芸能人になってみたい。

無理を言うようだが、北九州の山の中に位置していた私の母校にも誰かしら来てほしかったなあ、なんて思う。芸人やタレントが、ある学校の全校集会の場にサプライズで現れるというのはよく見られる光景だが、まさに地元で中高生をやっていた頃は、「ウチには100%来ないのだろう」という諦念混じりにテレビを眺めていたのを思い出す。とにかく田舎に悶々としていた当時の私は、首都圏の高校には芸能人が来まくりでいいなあと極端な認識での嫉妬をしていたのだ。だから私は、超有名人になって、田舎の学校にサプライズで行って、生徒たちを沸かせたいと思っている。そのためにはどうすればいいだろう。まずは有名にならないと始まらない。しかし、自分にできる事といったら……と頭をひねった結果、私はイケボ怪談師になることに決めた。主な活動としては、イケボで怪談をしようと考えている。

「テレビお久しぶり」/(C)犬のかがやき