ある日本人青年が、米国滞在中に老富豪と出会い「幸せなお金持ちになる秘訣(ひけつ)」を学んでいく過程を描き、話題となった「ユダヤ人大富豪の教え」(大和書房、本田健著)が今年、シリーズ累計で200万部を突破しました。今回は、新刊「愛蔵版・ユダヤ人大富豪の教え」(大和書房、本田健著)から、思考と感情が人生にどのような影響を与えるのかを解説していきます。

思考と感情を理解する

 本田さんは、金持ちは日常的に豊かさや新しいチャンス、楽しいイベントのことを考える一方、お金に縁のない人は月末の支払いやイヤな上司、リストラ話など、貧困につながるようなことばかりを考えていると説明します。その上で、日常的に考えていることが人生をつくると主張します。

「どこに、意識を集中させるかで将来が決まるといえます。自分の思考がどれだけ大切か理解できれば、成功するまでの時間は早くなります。自分が将来やりたいことしたいことにフォーカスしましょう。ある研究では人は1日に数万個のことを考えることが分かっています。思考の大部分が破壊的なことであれば人生は好ましくないものになります」(本田さん)

 つまり、頭に入った情報が思考をつくり、思考が人生をつくるため、「素晴らしい人生を生きたければ、頭に幸せの元になるような考え方を入れなければならない」と、本田さんは言います。ところで、ネガティブな感情に陥っている人に接すると、どのような影響を受けるのでしょうか。

「ある日、友人が『自分の病気のこと』を話し出しました。きっと、あなたは話を聞いているうちに、居心地が悪く落ち着かない気分になっているはずです」(本田さん)

「ネガティブな感情が湧くのは、望んでいないことを友人が話しているからではありません。友人との会話によって『病気になったらどうしよう』と心の奥で感じていた不安が、ただ単に引き出されたにすぎないのです。ネガティブな感情は、本当の望みに反することを考えていたことを知らせてくれます。このような時は自分に問いかけてみましょう」(同)

不安に焦点を当てない

 あなたが「健康でいたい」と考えたとします。その不安は「病気にかかりたくない」になります。「お金が欲しい」と考えたとします。その不安は「お金のない生活をしたくない」になります。「不安」に焦点が当たりやすくなることを理解すべきだと、本田さんは言います。

「ネガティブに焦点を合わせれば、ネガティブが引き寄せられます。いま、望まない経験をしているなら、望まない何かに意識が向けられていないかチェックすればいいのです。もし、願望を達成させたければ、自分の思いをチェックすることです。思考が人生を形づくり、感情が人生をコントロールしているからです」(本田さん)

 たいていの人は、人生で変化を起こすのが怖いものです。だから、現状の生活にしがみつきます。 それが、自分の幸せにつながらないと分かっていても変えることが難しいのです。

感情は行動に影響を与える

 人が行動を起こすとき、必ず感情が影響します。よい感情であれば、適切な行動を取ることができ、悪い感情を抱くと適切な行動を取るのが難しくなります。

 そういえば、最近次のような言葉を聞かなくなりました。「わたしがやります!」「わたしに任せてください!」「目標を達成してみせます!」「必ずやってみせます!」「絶対に諦めません!」。遠慮や謙遜をしているわけでもありません。自己主張も聞かなくなりました。

 競争社会で日々まい進しているビジネスパーソンにとって、このような言葉を口にすることで責任を追及されるというリスクがあるのでしょう。しかし、考えてみてください。部下が自信に満ちた自己主張をする言葉を使えるようになったらどうでしょうか。会社がこういう言葉であふれるようになったらどんなに勇気が湧き、皆が元気にさせられることでしょうか。

 このような言葉が自然に出るようになったとき、あなたは成長し、自信にあふれた言動ができるようになるでしょう。あなたの力で組織力もアップし、元気でエネルギーのある活性化した組織に変えることができるのです。考えただけで楽しくなってきませんか。

「自信に満ちた言葉」は自信をつけるだけでなく、周囲をやる気にさせる力があります。そういった行動を取ることを周囲に宣言し、実行してみたらいいのです。積極的な言葉を使うことで、自分の感情が変化していくのが実感できるはずです。今日からポジティブで元気のある言葉を使うようにしましょう。周囲の変化が手に取るように分かるはずです。

コラムニスト、著述家、明治大学客員研究員 尾藤克之

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