M2「ブラッドレー」歩兵戦闘車と共通のコンポーネントだそう。

バリエーションは5種類 自走迫撃砲型も

イギリスに本拠を置く防衛・航空宇宙関連企業のBAEシステムズは2023年9月1日、アメリカ陸軍と新型戦闘車両「AMPV」のフルレート生産(全規模量産)契約を締結したと発表しました。

AMPVは「Armored Multi-Purpose Vehicle」の略で、日本語では「多用途装甲車両」と訳されるものです。M2「ブラッドレー」歩兵戦闘車M109A7「パラディン」155mm自走榴弾砲と共通のパワートレインや足回りを備えており、整備や補給の面で現場の負担を軽減できるとしています。

バリエーションは5つあり、基本となる兵員輸送(汎用)型、指揮通信の基幹となる作戦統制型、火力支援を行う自走120mm迫撃砲型、前線で負傷者救護を行う医療処置型、重篤な患者を後送するための装甲救急車型があります。

従来、このような支援用の装軌式戦闘車両にはM113装甲兵員輸送車が用いられていました。M1131950年代後半に開発され、1960年代初頭から用いられている息の長い戦闘車両で、いまでもアメリカ陸軍では約5000両が現役使用されています。

ただ、エンジンやサスペンションの更新はされているものの、さすがに老朽化が進んでおり、アメリカ陸軍は2013年ごろから後継の導入を模索してきました。

AMPVはM113と比べて防御力に優れ、高い生残性を有しているほか、車体の大きなM2「ブラッドレイ」歩兵戦闘車の車体を流用しているため、M113と比べて78%も車内容積が拡大しているといいます。

今回締結されたフルレート生産に関する契約金額は7億9700万ドル(日本円で約1155億7000万円)です。生産はペンシルベニア州ヨークのBAEシステムズで行われるとのことで、アメリカ陸軍では今後20年で各型合わせて約3000両の導入を計画しています。

なお、低率初期生産、いわゆる先行生産で製造されたAMPVは、すでにジョージア州フォートスチュワートに駐屯するアメリカ陸軍第3歩兵師団第1旅団戦闘団に配備され、実運用が始まっています。

アメリカ陸軍が導入予定のAMPV(画像:BAEシステムズ)。