国税庁令和3年分 民間給与実態統計調査』などをもとに日本人のお金事情について見ていきます。

「給与は増えたけど手取りは全然変わらない」

所得税、住民税……日本は累進課税ですから、給与が上がったら比例して課税率も上昇します。「給与は増えたけど手取りは全然変わらない」といった声が良く聞かれるものです。実際、国税庁令和3年分 民間給与実態統計調査』には、「日本でお金を稼ぐこと」の悲しい現実が露わになっていました。

まずは給与の構成比別に見ていきましょう。男性の給与分布で最も多いのは「400万円超~500万円以下」で17.5%。「300万円超~400万円以下」が16.9%、「500万円超~600万円以下」が13.8%と続きます。

女性の給与分布を見ていくと、最多は「100万円超~200万円以下」で22.5%。「200万円超~300万円以下」が20.9%、「300万円超~400万円以下」が18.0%と続きます。

勤続年数別の平均給与を見ていくと、男性の場合、35年未満までは勤続年数が長くなるにしたがい高くなっています。もっとも給与が良いのは、勤続年数30~34年の階層(761万円)。女性の場合は、勤続年数30~34年の階層(453万円)が最も高くなっています。

1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では60歳までは年齢とともに平均給与も高くなり、55~59歳の階層で平均687万円と、最も高い給与を受け取る傾向にあります(女性の場合は年齢別の顕著な差は見られませんでした)。

真面目に働き続ければ、コツコツお金は増えていく……と考えたいところですが、では課税額はどうなのか。

1年を通じて勤務した給与所得者について、給与所得者数及び税額を給与階級別にみると、1年を通じて勤務した年間給与額800万円超の給与所得者は511万人で、全体の給与所得者の9.7%にすぎません。しかしその税額は合計7兆3,969億円で全体の63.6%を占めています。

日本人口が現在約1億2,494万人、そのうち労働世代(15歳~64歳)は約6,902万人です(総務省人口推計/2022年)。およそ6,902万人のうち年間給与800万円超えがわずか511万人しかいないことも驚きですが、納税額には目を見張るものがあります。

【ちなみに】民間平均給与は国会議員の「3.5ヵ月分」

ちなみに国会議員の給与はいくらなのか。『国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律』では下記のように記述されています。

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第一条各議院の議長は二百十七万円を、副議長は百五十八万四千円を、議員は百二十九万四千円を、それぞれ歳費月額として受ける。 第二条議長及び副議長は、その選挙された日から歳費を受ける。議長又は副議長に選挙された議員は、その選挙された日の前日までの歳費を受ける。

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歳費とは、いわゆるお給料のことを指します。議長217万円、副議長158万4,000円、議員129万4,000円。民間の平均年収が443万円ですから、国会議員については、およそ3.5ヵ月で民間のそれを上回る計算です。新型コロナ感染拡大時には、国会議員の歳費は「2割減」されており、歳費の月額は約103万円となっていましたが、それでも高いなと感じてしまうのも無理はないかもしれません。

(※写真はイメージです/PIXTA)