怒涛の勢いで本塁打を量産しているアクーニャJr.。その攻撃力に衰えは見られない。(C)Getty Images

 ベネズエラの怪物が怒涛の勢いで打ちまくっている。

 現地9月8日に本拠地で行われたパイレーツ戦で、ロナルド・アクーニャJr.が今季35号となる特大のソロホームランをマーク。史上初の「40本塁打&60盗塁」のシーズン記録達成も現実味を帯びてきた。

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 文字通り一振りで粉砕した。チームが4点をリードした4回裏に先頭打者として打席に入ったアクーニャJr.は、対峙したパイレーツ先発右腕ミッチ・ケラーが初球に投じた91.5マイル(約147.2キロ)の4シームを強振。打った瞬間にそれと分かる打球は、センター後方へ一直線。飛距離にして455フィートの特大アーチとなった。

 この日は一発を含む4打数3安打2打点と活躍した。チームの8-2での勝利に貢献したアクーニャJr.は、レギュラーシーズン終盤に入っても勢いに衰えは見られない。直近15試合では打率.338、7本塁打、16打点、5盗塁、出塁率.375、長打率.706のハイアベレージだ。まさに手のつけようがない状態である。

 バリー・ボンズアルフォンソ・ソリアーノらに続く史上5人目の「シーズン35本塁打&35盗塁以上」を達成したアクーニャJr.。このまま先述の「40本塁打&60盗塁」を達成すれば、熾烈を極めるMVP争いにおいてもグッと受賞に近づくと考えられている。

 彼のMVP受賞に太鼓判を押す人は現地メディアでも増えている。米スポーツ専門局『FOX Sports』のアナリストを務めているジェイク・ミンツ氏は、こう論じている。

MVPとはWARで分類して上位の選手を選ぶだけではない。たしかにアクーニャの35本塁打、63盗塁というとんでもないシーズンは、ベースの拡大や牽制球の制限など、新しいルールによって可能になった部分もある。だが、それでも信じられないことだ」

 同じく『FOX Sports』のアナリストを務めているジョーダン・シュスターマン氏は、「今シーズンは本当に誰がMVPになってもおかしくない」としたうえで、「アクーニャが38本塁打、72盗塁というとんでもない成績で1年を終えたら、ほとんどの有権者が彼を2位にするのは馬鹿げていると考えるはずだ」と断言。そして、こう結論づけている。

「彼の異様な盗塁数増加が、新ルールの影響によるもので、減点対象となったとしても、歴史的なシーズンを見ていることに変わりはないんだ」

 はたして、アクーニャJr.は前人未到の大記録を打ち立てるか。快進撃を続けてきた25歳への興味は尽きない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

ボンズの偉業に並んだアクーニャJr. “前人未到の大記録”も見える快進撃にMVP受賞を推す声「歴史的シーズンだ」