E・L・ドクトロウによる同名小説を原作に、1996年カナダミュージカル化され、1998年にブロードウェイで開幕した『ラグタイム』。同年のトニー賞では、作品賞や演出賞こそ『ライオンキング』に譲ったものの、脚本賞や楽曲賞に輝いて確かな存在感を示した。その後各地で上演され、2009年にはブロードウェイで早くもリバイバルされるなど、根強い人気を誇る感動大作がいよいよ日本初上陸。石丸幹二、井上芳雄、安蘭けいら、人気と実力を兼ね備えた豪華キャストを迎え、本日9月9日(土)より日生劇場で上演される。藤田俊太郎が演出を、そして昨年『ガイズ&ドールズ』で日本に初登場し、鮮烈な印象を残したエイマン・フォーリーが振付を手掛けることでも話題の公演だ。

舞台は20世紀初頭、黒人発祥のピアノ音楽ラグタイムが流行した時代のアメリカはニューヨーク。遠くラトビアからやってきたユダヤ人のターテ(石丸)とその娘、才能あふれる黒人ピアニストのコールハウス(井上)とその恋人サラ(遥海)、マザー(安蘭)・ファーザー(川口竜也)・ヤンガーブラザー(東啓介)らから成る裕福な白人一家という人種の異なる3家族を軸に、アナーキストのエマ・ゴールドマン(土井ケイト)、美人女優イヴリン・ネズビット(綺咲愛里)、奇術師ハリー・フーディーニ(舘形比呂一)、自動車王ヘンリーフォード畠中洋)、教育者で作家のブッカー・T・ワシントンEXILE NESMITH)といった実在の人物を多数登場させながら、壮大なスケールの物語が展開されていく。

トニー賞の結果にも表れている通り、この壮大な原作をミュージカルならではの語り口に変換したテレンス・マクナリーの脚本と、その語り口をドラマチックに完成させたリン・アレンズ(作詞)&スティーヴン・フラハティ(作曲)の音楽が実に素晴らしい作品。その言葉と歌をこのキャスト陣の声で、小田島恒志翻訳・竜真知子訳詞による日本語で味わえるだけでも貴重な機会と言える。その上で、人種問題というアメリカ色の濃いテーマが、今の日本に生きる私たちの問題として届くような舞台を期待したい。

ミュージカル『ラグタイム』扮装ビジュアル メイキング映像

ミュージカル『ラグタイム』稽古場映像ダイジェスト

文:熊田音子

<公演情報>
ミュージカル『ラグタイム』

脚本:テレンス・マクナリー
歌詞:リン・アレン
音楽スティーヴン・フラハティ
演出:藤田俊太郎

【キャスト】
石丸幹二:ターテ
井上芳雄:コールハウス・ウォーカー・Jr
安蘭けいマザー

遥海:サラ
川口竜也:ファーザー
東啓介:ヤンガーブラザー
土井ケイト:エマ・ゴールドマン
綺咲愛里:イヴリン・ネズビット
舘形比呂一:ハリー・フーディーニ
畠中洋ヘンリーフォード&グランドファーザー
EXILE NESMITH:ブッカー・T・ワシントン

新川將人、塚本直

井上一馬、井上真由子、尾関晃輔、小西のりゆき、斎藤准一郎、Sarry、中嶋紗希、原田真絢、般若愛実、藤咲みどり、古川隼大、水島 渓、水野貴以、宮島朋宏、山野靖博

【上演日程】
2023年9月9日(土)~30日(土) 東京・日生劇場
2023年10月5日(木)~8日(日) 大阪・梅田芸術劇場 メインホール
2023年10月14日(土)~15日(日) 愛知・愛知芸術劇場 大ホール

チケット情報
https://w.pia.jp/t/ragtime/

公式サイト
http://tohostage.com/ragtime

『ミュージカル『ラグタイム』メインビジュアル