2023年1月29日に74歳でこの世を去った鮎川誠。1978年に“シーナ&ロケッツ”を結成して以来、最後まで現役のロックミュージシャンとしてステージに立ち続けた彼の素顔に迫ったドキュメンタリー映画『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』が、現在全国公開中だ。

本作の公開を記念しオンライン配信番組『共感シアター』とTBSが贈るドキュメンタリー映画を発信していくブランド「TBS DOCS」がコラボ。スペシャルゲストとして、TBSドキュメンタリー映画祭 2023のアンバサダーであり映画コメンテーターLiLiCo、ドキュメンタリー映画にも精通するジャーナリストの佐々木俊尚、番組MCとして映画プレゼンターの赤ペン瀧川が出演しスペシャル特番を生配信した。

LiLiCo佐々木俊尚、赤ペン瀧川の三人は、冒頭からドキュメンタリー映画の魅力について熱弁が止まらず、LiLiCoは「本気だからおもしろい! ドキュメンタリー映画を観ると、自分の人生の中でも命がけでできることってあるのかなと思う。(自身がアンバサダーを務めた)『TBSドキュメンタリー映画祭』の作品ですごいもの観すぎて、エンタメ作品を観る時には頭を切りかえる必要があった(笑)」と今年3月に開催された映画祭時期の当時を振り返る。

佐々木は「海外ドキュメンタリーがおもしろい! 日本ではまだあまりやっていないがアニメーションやドラマシーンなどを入れたり、いろいろな要素を寄せ集めて一つのことを多方面から描いていたりする」と海外と日本のドキュメンタリー映画の違いについて解説し、各々のドキュメンタリー映画愛フルスロットルで番組がスタート。

そして、番組開催のキッカケである公開中映画『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』について、「シーナ&ロケッツ」を詳しく知らなかったというLiLiCoは「(鮎川さん、シーナさんは)お父さん、お母さんとしての印象が強くて、素敵な娘さんたちを見ればどれだけちゃんと子育てしていたのかがわかる。愛しか感じなかった」と家族愛に感動したようだった。佐々木は「ロックが何かを考えさせられる。老いぼれてもロックをやっている。だからこそかっこいいよね。昔は私生活を見せないのがスターだったけど、今はSNSもあり、全部見せる方がかっこよく見える時代なんだなって」と感慨深げに語った。

さらに、本編シーンやナレーションを務めた松重豊、親交の深い甲本ヒロトらのインタビュー、また舞台挨拶の模様や寺井到監督のスペシャルコメントなども公開し、視聴者からも「こんなにたっぷり見せていただけるなんて!」といったような歓喜のコメントが多数寄せられた。

続いて、ドキュメンタリー映画特番でもある本配信のメイン、ゲストのオススメドキュメンタリー映画作品を紹介する「このドキュメンタリーを語りたい!」のコーナーへ。番組冒頭にドキュメンタリー映画の魅力について「最近のドキュメンタリーはリアリティがすごい!」と語っていた佐々木は、オススメドキュメンタリー映画として、『THE MOLE(ザ・モール)』(2020年・監督:マッツ・ブリュガー)、『画家と泥棒』(2020年・監督:ベンジャミン・リー)、『Tinder 詐欺師:恋愛は大金を生む』(2022年・監督:フェリシティ・モリス) を選定。中でも『THE MOLE(ザ・モール)』について「本当か嘘かわからないものをたくさん撮っている監督。これ絶対フェイクだよな!って思えてくる。見ているだけでめまいがする」と作品を観た時の衝撃を振り返る。

そして、「今日の気分かつ、ドキュメンタリーをあまり見ない方でも見やすい作品を選んだ」というLiLiCoは、『世界で一番美しい少年』(2021年・監督:クリスティーナ・リンドストロム、クリスティアン・ペトリ)、『ようこそ映画音響の世界へ』(2019年・監督:ミッジ・コスティン)、『SNS -少女たちの10日間-』(2020年・監督:バーラ・ハルポバー ビート・クルサーク) をあげた。中でも『ようこそ映画音響の世界へ』は、「去年300本ほど観た中でこの作品が自分の中で1位だった。ドキュメンタリーが1位になったのは初めて。いろんな映画がでてくるけど、全部もう1回みたくなる!」と強く勧めた。

さらに、MCの赤ペン瀧川も3作品をチョイス。『ナワリヌイ』(2022年・監督:ダニエル・ロアー)、『ディープブレス 呼吸、深く』(2023年・ 監督:ローラ・マクガン)、『ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦』(2013年・監督:マイクブレット スティーブジェイミソン) をあげ、『ネクスト・ゴール! …』は「本当にめちゃくちゃ弱いチームなんですよ(笑)。でも、なんとか1点だけ獲ろうとする姿が熱いし、泣ける!」と語り、LiLiCoと佐々木も興味津々の様子だった。

「TBS DOCS」の最新情報のコーナーでは、昨年公開された『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』が、10月20日(金) から行われる第8回、蔚州山岳映画祭(UMFF)にて上映決定という初解禁の重大発表も。同映画祭は韓国唯一の国際山岳映画祭で、山、冒険、探検、自然、環境をテーマにした映画と文化を紹介するもの。本映画祭にてワールドプレミア上映となる『人生クライマー』からは、山野井泰史、妻の妙子、武石浩明監督の三名が招待され、10月19日(木)〜10月23日(月) までの日程で訪韓予定となっている。

その後も「TBS DOCS」の最新情報が紹介され、ドキュメンタリー好きの3人は話題が尽きない様子をみせたが、番組終了の時間が迫り最後に、佐々木は「あんまり勉強と気負わずに観ないで欲しい」と話し、それに対してLiLiCoも「子供の頃、ドキュメンタリーって難しそうって思った自分がもったないなって。もっと早くから見ればよかった」とドキュメンタリー映画への熱い思いを語り、終始ドキュメンタリー映画への愛と熱気に包まれ番組は終了した。

<作品情報>
シーナ&ロケッツ 鮎川誠 〜ロックと家族の絆〜』

公開中

監督・編集:寺井到
撮影:中牟田靖、宮成健一、丸本知也
編集:高尾将
音効・MA:寺岡章人

出演:鮎川誠、シーナ、鮎川陽子、鮎川純子、LUCY MIRROR、唯子
ナレーション:松重豊

映画公式サイト:
https://rokkets-movie.com/

『2023 秋! このドキュメンタリーを語りたい!』生配信番組より